量より質?睡眠こそが美と健康の秘訣

量より質?睡眠こそが美と健康の秘訣

こんにちは。管理栄養士の林輝美です。

健康の三大栄養素は、「食事」「運動」「睡眠」と言われているほど、睡眠は大切なものです。
しかし、現代3人に1人が睡眠に何らかの不満があると言われ、睡眠で悩んでいる方が増えていることが問題になっています。

忙しい社会の中で頑張りすぎることから、さらに頑張ろうと思っていても頭がすっきりしない。忙しくて食事が不規則になるなどのことから、夜の暗い時間帯に質のいい睡眠が十分にとれなくなってしまうという悩みが多いようです。

 

生きるために睡眠は必要

なぜヒトは睡眠が必要なのでしょうか。実は、ヒトや動物は無意識に睡眠時間をとっていますが、眠るという行動には意味があります。ヒトが眠っている間に、体の中では次のことが起こっています。

1 脳の休息

全ての動作に指示を出す大脳は、意識がある限りフル稼働しています。きちんと睡眠を

とることで、大脳が間違った指令をだすことを予防します。

 

2 記憶の整理

レム睡眠と言われる浅い眠りの時、体は休息し脳は活動しています。その間に、記憶の整理をし、日中学んだことを脳にインプットすると考えられています。

 

3 体と心の疲労回復

横になることで、体の疲れはある程度回復できます。

ノンレム睡眠と言われる深い眠りの時に、ストレスを消去すると言われているため、眠ることで心のメンテナンスもします。

 

4 免疫力を高める

生命を支える血液は、睡眠中に作られます。横になることで、重力が分散され、酸素の消費量が減り、血液をつくる余裕がうまれます。そして、副交感神経を優位にすることで、病気にかかりにくくなります。

 

5 様々なホルモンが分泌

睡眠中は成長ホルモンをはじめとした、様々なホルモンを分泌しています。

例えば、ストレスを発散させるコルチゾールや新陳代謝を活発にする成長ホルモン、心を落ち着かせて眠りを促すメラトニンなどが挙げられます。

 

6 細胞の新陳代謝

傷んだ細胞の修復をし、新陳代謝をサポートします。

 

睡眠は生命を維持するための復活の時間とも言えます。

睡眠不足の状態が日常になってしまうと、レプチンという痩せるホルモンが減り、グレリンという太るホルモンが増えるため、肥満なる傾向があります。
また、高血圧症や糖尿病、脳疾患、心疾患のリスクも高くなります。さらに、新陳代謝が悪くなることで、髪の毛が抜けやすい、肌の調子が悪いなどの原因にもなります。

 

それでは、睡眠の質をあげるには、一体何をしたらいいのでしょうか?

 

睡眠の質を上げる方法

まずは、メリハリある生活を送ることです。

次の7つの習慣に気をつけることで睡眠の質は今よりもグッとあがります。

1 起床・就寝時間の定着

睡眠の時間のリズムが乱れると、睡眠の質は低下します。まずは起床・就寝時間を定着させ、起床したら、たっぷりの朝日を浴びて体内時計をリセットします。朝日を浴びないと体内時計は、毎日少しずつずれていき、適切な時間にメラトニンが分泌されなくなります。

 

2 食事にたんぱく質を摂り入れる

メラトニンの材料のセロトニンは、トリプトファンという必須アミノ酸から作られています。トリプトファンは、たんぱく質の多い食品に含まれているので、肉・魚・大豆製品やナッツ類などを食事に取り入れるようにします。

 

3 夜遅い時間にたっぷりの食事を摂らない

遅い時間の夕食や夜食で脂っこいものや、消化に負担のかかる肉などを食べると内臓が消化するのに時間を要し、十分に休めることができません。

 

4 ぬるめのお風呂に入る

入浴で身体をリラックスさせるのは睡眠の質をあげるのに効果的です。少しぬるいくらいの38℃ぐらいが理想です。

 

5 軽めのストレッチする

寝る前の激しい運動は避け、軽めのストレッチをすることでストレス解消にもなります。

 

6 睡眠30分前はスマホ・パソコンを控える

パソコンやスマホのブルーライト系の強い光は、睡眠の質を低下してしまううえに、電磁波はメラトニンも分解します。SNSやメールなど文章を考えることで脳が活発になります。

 

7 たばこ・お酒の量を控える

たばこに含まれるニコチンは、交感神経を優位にし、目を覚ます作用があります。またお酒は、酔うと寝つけは良くなる半面、アルコールが分解される頃に睡眠の質が低下するのでどちらも控えた方がいいものです。

 

 

女性は、母親として子育てや家事で忙しく短時間睡眠になりがちですが、睡眠時間を削って趣味や娯楽に時間を費やすこともあると思います。

睡眠の質が低下すると、パフォーマンス力の低下、体調不良や肌の調子が悪いなど心も体もマイナスに働きます。

睡眠は、生活をしていくうえで欠かせないものであり、生活環境が人によって違うからこそ、何時間睡眠したかという量よりも質が大切です。今一度、睡眠の自分の生活時間を振り返り、7つの習慣を意識してみてみましょう。

 

参考文献:一般社団法人日本睡眠改善協議会ホームページ
基礎講座 睡眠改善学 監修 堀忠雄・白川修一郎
編 日本睡眠改善協議会  ゆまに書房

nana
林 輝美
管理栄養士