お灸で熱くないと感じるのは悪いところ?熱く感じる時と感じない時があるのはなぜ?
「お灸は身体に良さそう」そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。お灸は、古くから愛されてきた歴史ある治療法です。中国では紀元前から利用されていた記錄があります。日本にも飛鳥時代に伝わり、現代に至るまで美容や健康維持に活用されてきました。
実際にお灸を始めてみたいと思っても「やり方がわからない」「効果が本当にあるのか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなお灸初心者の方に向けて、お灸の基礎知識や効果、さらにおすすめのツボや正しいお灸のやり方などを詳しく解説していきます。正しい知識と方法を知ることで、安心して自宅でのセルフお灸を始められるようになります。美容と健康のためにお灸を取り入れてみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもお灸の種類とは?
お灸は、よもぎの葉を原材料とするモグサを燃やすことでツボを刺激する治療法です。お灸には、有痕灸(ゆうこんきゅう)と、無痕灸(むこんきゅう)の2種類があります。
有痕灸は、皮膚の上に直接お灸を置くため、直接灸とも呼ばれます。お灸が燃えきるまで置くことで、痕が残るのが特徴です。
一方、無痕灸は、皮膚とお灸の間に物や空間がある状態で行う間接灸です。刺激が弱いため、火傷しにくく、セルフお灸に向いています。
間接灸には様々な種類があり、輻射熱で温める棒灸(ぼうきゅう)や、お灸の下に塩や生姜を敷く隔物灸(かくぶつきゅう)などが代表的です。中でもおすすめなのが、ドラッグストアなどでも販売されている台座灸(だいざきゅう)です。底面のシールを剥がして皮膚に載せるだけなので、その手軽さと安全性から、誰でも簡単に使用できるお灸といえるでしょう。温度の違いやアロマの香りがするものなど、さまざまな種類があるため、自分に合ったお灸を見つけることが可能です。
お灸で熱くないと感じるのは悪いところだから?
お灸をしても熱くない場合の捉え方については、いくつかの考え方があります。たとえば「身体の状態が悪いため、熱さを感じることができない」こともあれば「もともと鈍感で熱さを感じにくいタイプ」や「お灸の温度が低すぎる」など、さまざまなケースが考えられます。まずは1週間お灸を継続して、身体の変化を観察してみましょう。
お灸で熱いと感じるのは効いている証拠?
お灸の熱さを強く感じると「効いている証拠」と思う方もいますが、必ずしもそうとは限りません。「体調がすぐれず感受性が敏感になりすぎている」場合や「もともと敏感で熱さを感じやすいタイプ」「お灸の温度が高すぎる」などの影響も考えられます。
季節やその日の体調によっても、お灸の感じ方は変化します。熱すぎる場合は、我慢せず途中でお灸を取ってください。台座灸を途中で取らなければいけないほど熱い場合は、お灸の温度が合っていない可能性があるため、より低い温度の台座灸を選ぶと良いでしょう。
お灸の効果がすごい!
お灸は古来より親しまれてきた治療法で、さまざまな効果があるとされています。お灸の温熱刺激により血液循環が促進され、炎症を抑えて痛みを和らげる効果が期待できます。また、赤血球を増やす増血作用があり、血流を改善することで全身の健康をサポートします。さらに、白血球を活性化させることで免疫力が向上し、身体を外敵から守る力が強化されます。
加えて、お灸の温熱効果によって副交感神経が優位になり、リラックス状態が促進されます。その結果、深い睡眠が得られるだけでなく、ストレス軽減にも繋がります。
お灸は、副作用が少ないことも大きなメリットです。正しい方法で継続することで、日常生活の中で体調を整える手助けになります。
【お灸の注意点】お灸をしてはいけない人の特徴とは
以下の特徴を持つ方は、セルフお灸をおすすめしません。
- 妊婦
- 乳幼児
- 発熱中の方
- 糖尿病などの持病があり、熱さを感じにくい方
これらに当てはまる方がお灸をされる場合は、医師・鍼灸師にご相談の上、行ってください。
お灸をするタイミングと回数については、以下にご注意ください。
タイミング
お灸をするタイミングは、起床後や、仕事の合間、眠る前など、ご自身のやりやすいタイミングで大丈夫です。ただし、入浴・食事・飲酒・激しい運動の1時間前後は避けてください。
回数
お灸初心者の場合は、1日1回、1〜3箇所のツボにお灸をしてください。一つのツボにつき、1〜3個のお灸を使います。
お灸をしたあとに皮膚がうすいピンク色になっていれば、お灸1個で十分です。火傷しないように、お灸のやりすぎにご注意ください。
自宅でセルフお灸をする方法・お悩み別のツボをご紹介
自宅でお灸を行う際に大切なポイントについて、お伝えします。
準備するもの
- 台座灸
- ライター
- 灰皿
台座灸は、ドラッグストアやネットショップなどで購入可能です。メーカーによって、使いやすさや温度設定などが異なります。最初は、低い温度のものを選ぶと良いでしょう。また、煙の出ないスモークレスタイプもありますので、煙が気になる方はこちらを選んでください。
ツボの探し方
ツボを探すときは、人差し指か中指の腹で優しく皮膚をなでてください。
- 肌のハリがなく、へこんでいる
- 肌が乾燥している
- 軽い圧痛を感じる
上記の特徴があるところを探して、お灸をしましょう。ただし、顔や粘膜、傷や炎症がある場所は避けてください。
セルフお灸は、気持ちいい程度の熱さで行うことが大事です。リラックスしながらお灸の温かさを感じてください。
お悩み別のおすすめツボ
【合谷(ごうこく)】
手の甲側で、親指と人差し指の骨が合うところで、やや人差し指よりの場所です。肩こり・頭痛・歯痛・花粉症など、首から上のお悩み全般におすすめのツボです。
【足三里(あしさんり)】
膝の外側で、お皿の下から指4本分下がった場所にあります。胃もたれ・足の疲れ、免疫力アップなどに効果的なツボです。
【三陰交(さんいんこう)】
内くるぶしから指4本分上がったところにあります。足の冷え・むくみのほか、生理痛など婦人科系のお悩みにおすすめのツボです。
【失眠(しつみん)】
かかとの中央にあるツボです。不眠症・足の冷え・むくみにおすすめのツボです。
まとめ
本記事では、お灸の基礎知識と注意点、具体的なセルフお灸の方法などをご紹介してきました。お灸は古くから伝わる治療法で、血行促進・免疫力向上・リラックス効果など、さまざまな健康効果が期待できます。
お灸をするタイミングは、起床後や仕事の合間、寝る前などご自身のやりやすい時間で大丈夫です。ただし、入浴・食事・飲酒・激しい運動の1時間前後は避けてください。
セルフお灸を行う際には、まずは低温のお灸から始めましょう。1日1回、1〜3個所のツボにお灸をしてください。お灸をしたあとに皮膚がうすいピンク色になっていれば、お灸1個で十分です。
ご自身のその日の体調や感じ方に合わせてお灸を行い、お灸を前後での心と身体の変化を楽しんでください。