めまいや下痢などのハーブティー副作用、ハーブの種類別の注意点を徹底解説!

めまいや下痢などのハーブティー副作用、ハーブの種類別の注意点を徹底解説!

ハーブティーとフレーバーティーの違い

家事が一区切りついたときや、夜寝る前のくつろぎタイムなど。束の間の休息にはホッとする飲み物が欠かせません。最近は、自分の好みに合うドリンクを、その時々で選ぶ方が多くなりました。
中でもハーブティーは、バリエーションが豊富なこともあり、愛好者が増えています。ここでハーブティーについての特徴を簡単におさえておきましょう。
ハーブティーはフレーバーティーと混同されることもありますが、両者は全く違うものです。
フレーバーティーは、紅茶や緑茶をベースに、花びら、果皮、香料などで香りを付加した飲料です。例えばベルガモット精油で香りをつけたアールグレイは、代表的なフレーバーティーです。
一方でハーブティーとは、生または乾燥させたハーブを、煮だして飲用としたものを指します。ここでいうハーブとは、大雑把に「生活に有益で香りのある植物」と思って下さい。
つまりハーブティーは、他の香りを足すことなく、植物の持っている香りと効用のみを使用するのです。

ハーブティーには副作用がある!気を付けるべき注意点とは?

ハーブティーには副作用がある!気を付けるべき注意点とは?

日本ではハーブティーは単なる嗜好品の一つとして捉えられる傾向にありますが、ヨーロッパではハーブは「自然の薬」と言われています。
薬には副作用があるように、ハーブティーも種類や飲み方によっては副作用がある事があります。
ハーブティーの副作用の観点から、注意点をご紹介します。

効能、効果にとらわれすぎず、自分の感覚でハーブティーを選ぶ

先にも述べたように、ハーブは「生活に有益で香りのある植物」です。ショップの店頭では、市販のハーブティーのポップに、効能効果に近い特徴が添えられていることもあります。
たとえば、「抗菌力抜群!」とか、「胃腸の調子が悪いときに…」など。
では、例えば「感染症が心配だから」という理由で「抗菌力抜群!」のハーブティーを一つだけ選んで毎日飲み続けたらどうでしょう?
どれだけ感染症が予防できるかは分かりません。しかし確実に言えるのは「わりと早く飽きてしまう」ということです。これではそのハーブティーを飲み続けることが苦痛になります。
効能や効果は、それほど気にしなくても結構です。自分に必要なものには、自分の体が反応します。
ハーブの容器に顔を近づけて香りを嗅いだときの感覚で選んでください。
そして、選んだハーブティーを飲みながら、ハーブの本やネット検索で効果を調べてみると、あら不思議。自分が欲しいと思っていた効果が、今飲んでいるハーブティーにしっかり含まれている。なんてことがよくあります。
ハーブティー選びに悩んだら、まずは自分の五感に従ってみてください。

意外に多い、めまいや下痢

ラベンダーやパッションフラワーで軽いめまいを感じる方がいらっしゃいます。おそらくそれは、ハーブの鎮静効果が強く出たためでしょう。
元々血圧が低めの方は、血圧降下作用のあるルイボスを飲むと、さらに血圧が下がってめまいを感じるかもしれません。

ハーブティーを飲むとおなかが緩くなる方は、原材料名を確認してください。タンポポ(ダンデライオン)やフェンネルが入っていたら、その影響を受けているのかもしれません。
特にフェンネルは味や香りの調整用として、多くのブレンドハーブティーに用いられています。
ダンデライオンやフェンネルの影響を受けない方もあります。自分がどのハーブに過敏なのか、知っておくことが重要です。

デトックスを歌うハーブティーの中には、キャンドルブッシュが使われているものもあります。これはセンナという生薬で、漢方では下剤として使われています。人によってはデトックスどころかひどい下痢をきたすことがあります。

ブレンドハーブティーを選ぶときには、その成分について専門家に確認してください。

「毎日同じハーブティーを飲み続ける」はお勧めしません

ハーブティーは種類が多く、体への作用もまちまちです。ですから一概に「一日何杯まで」と決めることはできません。そして、どれだけ飲めば効果が出る、という目安もありません。
無理なく体調を整えるという目的を考えると、一日2~3杯程度をしばらく飲み続けてみるのが良いでしょう。
同じものを毎日飲み続けると飽きるという事だけでなく、アレルギーを引き起こすことがあります。
連続して同じものを飲み続けると、それが引き金となって、隠れていたアレルギーが表に出てくることが稀にあります。もちろん、必ずアレルギー反応が起きるわけではありませんが、可能性は高くなります。
これはハーブティーの副作用というより、毎日同じものを摂ることで引き起こされる弊害です。
このようなこともあるので、毎日同じハーブティーを続けて飲むのは、お勧めできません。
そもそも、なぜハーブティーを生活に取り入れたのでしょう?くつろぎタイムを自分流に楽しみながら、体調も整えたいのではありませんか?
それこそがハーブの魅力です!
自分の感覚を大切にしながらハーブを選べば、くつろぎタイムは充実させることができます。しかも、そのとき自分の体が求めているものを選べます。

理論も大切ですが、なによりも自分の感覚ファーストでハーブのある生活を楽しんでください。

ハーブ別に副作用を徹底解説!

ハーブ別に副作用を徹底解説!

ハーブは医薬品に比べて安全性が高いイメージがあります。けれどもハーブの多くは、昔は医薬品として使用されていました。
現代では食品に分類されているからといって、全く安全と思い込むのは早計にすぎます。
摂取によって何らかの反応を期待するということは、時に不必要な反応が起きることをしなければなりません。副作用とは、必要とされる反応以外のことを指します。必ずしも有害な反応ではありません。
しかし、不必要な反応が体に余計な負担をかける場合、それは注意して避けるべき「有害な副作用」となります。
以下に代表的なハーブティーに起こりうる有害な副作用を挙げます。

ペパーミントティー

ペパーミントは清涼感があり、気分転換や口臭予防に適したハーブです。一方で、血圧を上げやすいという副作用があるため、血圧が高い方にとっては要注意です。

ラベンダーティー

癒しのハーブの代表、ラベンダーにも副作用はあり得ます。
ラベンダーのリラックス効果が適度に発揮されたら快適ですが、効果が発揮されすぎて日中眠くなってしまったら、それはやはり、有害な反応と言わざるを得ません。
また、ラベンダーに若干含まれるタンニンは、子宮周辺の筋肉を収縮させたり、鉄や葉酸の吸収を妨げる作用があります。
だからといってあまり怖がらないでください。濃いラベンダーティーを大量に飲まなければ、心配ありません。

カモミールティー

カモミールに代表されるキク科のハーブで、特に注意していただきたい有害反応が、アレルギー反応です。
ハーブのアレルギーでは、キク科植物のアレルギーが特に多く取り上げられます。おそらくブタクサ花粉アレルギーの人口が多いため、そしてハーブティーにはキク科植物が多いためでしょう。
ブタクサは、キク科の植物です。ほかにも、タンポポ、エキナセア、ハーブティーの代名詞といえるジャーマンカモミールなど。ハーブティーに使われているキク科植物はたくさんあります。
必ずという訳ではありませんが、ブタクサにアレルギーがあると、他のキク科植物にも反応する場合があるようです。
それは、ハーブティーに対する反応の場合もありますがハーブの容器をあけた際にわずかに飛び散ったり、ハーブの粉に混ざっている花粉に反応することもあります。
ジャーマンカモミールなどは、花をそのまま乾燥させてドライハーブにしていますから、花粉も混入している可能性があります。花粉アレルギーの方はご注意ください。

レモングラスティー

レモングラスティーには子宮を収縮させる作用があるため、妊娠中は控えた方が良いと言われています。ただし通常の濃度を一日1~2杯飲む程度でしたら問題ありません。

ここに挙げた以外でもハーブそのものとの関連は不明でありよく分からないながらも、不快な反応が出ることもあります。特定のハーブティーで下痢やめまいなどの症状を起こす、という場合は、相性の悪いハーブは避けてください。

ハーブティーを飲むときに特に注意が必要な人とは?

ハーブティーを飲むときに特に注意が必要な人とは?
ハーブティーには多かれ少なかれ薬効成分が含まれていますから、種類によって摂取に注意が必要な人もいます。
特に次のような方々は特に注意が必要です。

妊娠している人

ハーブの中には子宮を刺激するものもあり、妊娠初期に大量に摂取すると流産を引き起こすことがあります。
もちろん、妊娠初期にはすべてのハーブティーが危ない! などということはありません。注意が必要とされているハーブティーでも、大量に摂取していなければ、慌てることはありません。
しかし、妊娠中はちょっとしたことでも不安材料になり得ます。日ごろからハーブティーを愛飲している方も、妊娠したかもしれないと思ったら、ご自分が飲んでいるハーブティーについて改めて調べてみてくださいね。

注意して頂きたいハーブを挙げておきましょう。
・女性ホルモンの分泌に影響を及ぼすアンゼリカ
・成分に女性ホルモン様作用を持つものがあるリコリス(甘草)
・子宮を刺激する作用があるタイム、サフラワー(ベニバナ)、ラベンダー、レモングラス

この中でもリコリス(甘草)は漢方薬に多用される植物です。ハーブティー以外に漢方薬も飲んでいる場合には、成分をしっかり確認してください。またタイムは、分娩を促すために使われていたハーブです。妊娠中は避けた方が安心です。

授乳中の人

授乳中に避けたいハーブティーは、セージとマテです。
セージは母乳分泌を抑制する働きがあるといわれています。
マテはカフェインが含まれています。お茶やコーヒーに比べると量は少ないのですが、赤ちゃんへの影響を考えて避けた方が良いでしょう。

持病がある人

繰り返しになりますが、ハーブの効能は人によっては有害な反応になります。
腎臓が弱い方にとっては、ジュニパーベリーの利尿作用は、大きな負担ですし、ローズマリーは体を活性化してくれる一方、血圧を上げるので高血圧症の方は注意が必要です。

持病がある方に気をつけて頂きたいハーブをいくつか挙げておきましょう。

・腎臓が弱い方:ジュニパーベリー 
・血圧が高い方:ローズマリー、ペパーミント
・胃酸が逆流しやすい方:ペパーミント 
・血圧が低い方:パッションフラワー、ルイボス、ラベンダー

薬を服用している人

現在使われている医薬品の多くが、もとはハーブに含まれていた成分を抽出するか、またはそれを元に作られています。
ですから、ハーブと薬を飲み合わせると作用が強く出てしまうことがあります。
しかし薬を飲んでいるからといって、ハーブティーを飲めないわけではありません。お互いに影響しあわない組み合わせを選べば問題ありません。
疾患の治療中の方、特に服薬中の方はハーブティーを選ぶにあたっては、医師や薬剤師に相談してください。

ハーブティーと薬の飲み合わせにおける注意点

ハーブティーと薬の飲み合わせにおける注意点
薬との飲み合わせで、最も気をつけて頂きたいハーブは、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)です。
セントジョーンズワートは、抑うつ状態や、季節性の感情障害、月経前の気分低下などに対して良好な結果を出すことが多い一方で、様々な医薬品との相互作用があることが知られています。
セントジョーンズワートに影響を受ける可能性のある医薬品は、経口避妊薬(ピル)、抗血液凝固剤、気管支拡張剤、抗てんかん薬や精神科領域の薬などです。多岐にわたる医薬品が影響をうけますので、セントジョーンズワートが好きで常用薬のある方は、今一度薬剤師に確認してはいかがでしょうか。

セントジョーンズワート以外のいくつかのハーブについても、医薬品と併用した場合に相互作用が発現する可能性が報告されています。
例を挙げると、カモミールティーは抗血液凝固剤の作用を増強して、出血のリスクを高めることがあります。
ラベンダー、パッションフラワー、カモミールなどの鎮静効果のあるハーブは、鎮静剤や睡眠薬の効果を高めすぎたり延長し過ぎたりすることがあります。

すでに服用している薬があるのでしたら、その薬品とハーブとの飲み合わせについて、医師や薬剤師に確認してください。
ネットの情報だけを頼りに自己判断すると、取り返しのつかないことになる可能性があります。
これらは治療の根本にかかわることです。うやむやにせずに、専門家の助力を遠慮なく求めてください。

サプリメントとの併用も注意

健康補助食品、あるいは栄養補助食品であるサプリメントの中には、ハーブの成分をそのまま使用したものが数多くあります。
そのほとんどは、ハーブの名前をそのままサプリメントの商品名にしています。自分が飲んでいるハーブティーと同じ名称のサプリメントは、過剰摂取になるため、併用しないでください。
ハーブによっては名前が何種類もあり、別名がかかれていると判断できません。例えば以下のような複数の名前のハーブがあります。

・センナとキャンドルブッシュ
・マリアアザミとミルクシスル
・ナツシロギクとフィーバーフュー

複数の名前を持っているハーブは、他にもたくさんあります。効能効果が同じ場合には、原材料が同じ可能性があります。同じものを過剰摂取すると、思わぬ副作用が出るため、注意が必要です。
薬ではないからといって、安易に考えるべきではないのは、ハーブもサプリメントも同じです。医師や薬剤師には積極的に質問して、上手にハーブやサプリメントを活用して、体調を整えて生活を豊かにしてください。

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nana
下川 麻里
薬剤師 博士(薬学)