漢方で無月経や生理不順が治った?無月経の原因やおすすめ漢方を紹介!
一般的に女性は、個人差はありますが、25〜38日の周期で生理が起こります。この生理があることで妊娠し出産することができるようになります。18歳以上の女性が何かしらの要因で生理が起こらないことを「無月経」と言います。
無月経は、どうして起こってしまうのでしょうか?また、どうしたら改善できるのでしょうか?漢方薬で改善できる可能性も含めお伝えします。
無月経とは~原発性無月経と続発性無月経があります
女性で生理が来ないと病気だと思ってしまう方が多いですが、正常な状態でも無月経のことがあります。例えば、まだ思春期以前である場合や妊娠中、授乳中、閉経後が正常な無月経な状態と言えます。それ以外の時期で女性に生理が起きない場合には、何かしらの病気の初期症状による可能性もあります。
無月経によって起こる様々な症状
無月経の女性には、排卵が起こらないため、妊娠が難しくなります。またその他の症状として、男性のように体毛が生えてくる、声が低くなる、筋肉の増加など、男性の特徴が見られることがあります。それ以外にも、頭痛や視覚障害、性欲の低下などがあります。
さらに無月経が長期間続くと、更年期のような閉経によって生じる症状が起こりやすくなります。例えば、ほてり(ホットフラッシュ)、腟の乾燥、骨密度の低下、心臓・血管関連疾患のリスク上昇などがあります。これらの症状は、無月経の女性では女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低いために生じることで、更年期のような状態になります。
無月経は、大きく分けて2種類に分かれます。
原発性無月経
思春期になると、女性は乳房の発達や生理、男性は髭が生えたりなど、男女で外見上の様々な特徴が現れます。これを第二次性徴と言います。
第二次性徴から一度も生理が始まらないものを「原発生無月経」と呼んでいます。原発性無月経の原因となる疾患には、ターナー症候群、カルマン症候群、先天性副腎過形成症のような遺伝子や先天的な異常によるものなどが存在し、どれも比較的まれな疾患とされています。原発性無月経の原因となるこれらの遺伝子や先天的な異常の疾患は、思春期まで気づかれないこともあります。
一般的に、女性は生理が始まらないと乳房の発達や陰毛の出現などの正常な第二次性徴が起こりません。しかし、第二次性徴が遅れている女性には、特に症状はなく年齢を経てから生理が正常に始まることがあります。このように、一部の家系では第二次性徴の遅れも見られるようです。
続発性無月経
第二次性徴によって生理が始まったが、何かしらの原因で、その後止まってしまったものを「続発生無月経」と言います。
もしも、生理が今まで何度もあったにも関わらず、生理が3ヶ月以上こない場合には、続発性無月経である可能性が高まります。
続発性無月経の最も多い原因は、妊娠や授乳のような女性ならではのライフイベントの場合もあります。他にも女性ホルモン分泌に関係する脳の視床下部や下垂体の機能不全、多嚢胞性卵巣症候群、原発性卵巣不全のような卵巣によるもの、または甲状腺の機能不全などに関連した疾患の可能性もあります。
脳にあるホルモンの分泌調整に関与する視床下部の機能不全が原因の場合は、過度なストレス、うつ病、強迫症などの心の状態、栄養失調、また女性スポーツ選手に多い過度な運動などが挙げられます。視床下部からホルモン分泌の指令を総まとめする役割を持つ脳の下垂体の機能不全では、下垂体腫瘍によってプロラクチン分泌が上昇したり、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症による甲状腺の機能障害があります。
それに加えて、経口避妊薬、抗うつ薬、抗精神病薬など特定の疾患に関連する治療で用いる薬を服薬している場合でも起こります。
続発性無月経の方が、原発性無月経と比べてはるかに一般的で、女性の続発性無月経で最も多いのは妊娠と言われています。
この記事では、続発性無月経に関連した原因と対策をお伝えします。
無月経や生理不順になるのはなぜ?過度なダイエットが原因かも
無月経や生理不順が起きる原因には、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が関わっています。2つの女性ホルモンには役割の違いがあり、エストロゲンは排卵を起こし、プロゲステロンは排卵した卵子を受け止めるベットを用意するイメージです。
続発性無月経には、2つの女性ホルモンに関連した分類の仕方もあり、プロゲステロンが足りないために無月経になる「第1度無月経」と、2つの女性ホルモンがともに足りない「第2度無月経」があります。無月経の多くは第1度無月経とされており、プロゲステロンを薬で補うことで出血が起こります。生理不順も、2つの女性ホルモンの分泌の乱れで起こることがあります。
また、ダイエットなどによる急激な体重減少は無月経を引き起こす要因となります。生理は、女性が妊娠をするために起こる現象です。そのため、急激なダイエットによる栄養失調の状態では、子供を育てる母体が保てません。女性が妊娠や出産ができる状態にないので、自ずと無月経の状態になるのです。
漢方から見た無月経の原因を解説!
漢方治療として無月経を見た場合に、一番の要因は血液の量と質の低下、血行障害と捉えられます。漢方では、血液の量と質が低下している状態を「血虚」、血行障害のことを「瘀血」と言います。無月経の女性には、このような血液に関連した要因が絡んだことで起きていると考えられます。
急激なダイエットによる栄養失調は、血虚を招くことになります。そうなれば血液からエネルギーを生み出す活力を得ることもできなくなりますので、血行も悪くなりだし瘀血を招きます。この2つの状態から回復させることが生理を起こすことにつながり、また生理を安定させることにも関係してきます。
また、子宮や卵巣の機能が低下している「腎虚」と呼ばれる状態であることもあります。これは、年齢層が高めの方に起きる無月経や生理不順に関係していることが多いです。
無月経は漢方で治せる?その方法や実際に治った人の体験談も!
無月経は漢方治療で治すことができます。実際に多くの女性が治療を受けて自然な生理が来るようになっています。今回は、漢方治療を行った20代の無月経の女性の事例をご紹介します。
この女性は、経口避妊薬を用いた治療で生理を誘発させることに成功したものの、やめるとまた生理が止まりました。その後、漢方薬による治療を行った結果、足の冷えや顔のほてりが消失していき、お通じもよくなりました。そして、1ヶ月後に生理が始まり、出血が7日間正常に続きました。しかし、生理前の疲労感やPMSが現れるようになったため、漢方薬の配合を変えながら次の生理の状態の様子を見ました。
最終的には、1年半の治療継続によって、毎月1回の生理を4回繰り返すことができ、PMSなどの症状も消失し、女性の表情や仕草などが見違えるように変わりました。
このように1回生理が起これば良いのではなく、継続して安定した生理を起こせるようにしてあげることが大切です。また、生理で現れる心の状態に対しても漢方薬でアプローチすることで、女性の生きる活力を与えることができました。
無月経に効く!おすすめ漢方をご紹介
無月経に効果的な漢方をご紹介します。
温経湯(ウンケイトウ)
温経湯は、緩やかに瘀血を改善させる作用を持っており、下腹部を温め、子宮の血行を促します。脈やお腹の力が弱い虚弱体質の婦人科不調に用いられます。特に冷え性で、手足がほてり、唇が乾燥しやすい人に向いています。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
桂枝茯苓丸は、婦人科三大漢方薬の1つで、瘀血を改善させる漢方薬として婦人科領域でよく用いられます。体力が中以上で、赤ら顔、のぼせやすいのに足が冷え、下腹部が張る人に向いています。
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
桃核承気湯は、代表的な瘀血改善薬の1つで、お通じを促すことで鬱血を去る手法によって瘀血を改善させるのが特徴です。桂枝茯苓丸に比べてその作用は強いです。顔がのぼせてほてりやすく、便が乾燥しがちな便秘で、イライラして眠れない方に向いています。
当帰薬散(トウキシャクヤクサン)
当帰薬散は、婦人科三大漢方薬の1つで、血液の量と質を改善し、血液の巡りを良くして体を温める作用を持っています。痩せて体力のない人で冷え性、貧血傾向の人に向いています。
加味逍遥散(カミショウヨウサン)
加味逍遥散は、婦人科の三大漢方薬の1つで瘀血を改善させ、神経の高ぶりや抑うつ症状にも効果があります。体力中等度以下で、のぼせ感があり、精神不安やいらだちのある方に向いています。
六味地黄丸(ロクミジオウガン)
六味地黄丸は、腎虚を改善することで、子宮や卵巣の機能を回復させます。体力は中等度以下で疲れやすく、尿量が減ったりあるいは増えたりして、手足がほてり、口が渇いたりする人に向いています。
無月経以外の女性特有の問題も漢方で治療ができる?
漢方薬は治療を受けている方の体質を改善させる目的で処方します。そのため、無月経の原因となっている他の関連症状にもアプローチをかけて、生理を安定させる治療を行います。
今回紹介した漢方薬では、血液の量と質を改善させることで栄養状態の良い血液に変えていきます。さらに、血液の巡りも促すことで、栄養や体の反応に関係する物質が行き渡るようにしています。
他にも、冷え性に悩んでいる方に漢方を処方し身体を温めるようにしたり、神経の高ぶりや落ち込みのような心の状態を安定させたり、お通じを促すことで体内の老廃物を溜め込まないような体へ導くことを行っています。そのような体質改善をすることで、次第に、女性の雰囲気が見違えるほど変化することもあります。
無月経は様々な病気の初期症状の可能性もあります。今すぐ妊娠を望まない場合、生理がないと楽とか、大した事ないと捉えて放置しておくのはとても危険です。不安な場合は、婦人科で診察を受けるようにしましょう。