生理前になると膝が痛い!月経前症候群(PMS)が原因かも?

生理前になると膝が痛い!月経前症候群(PMS)が原因かも?

女性の約9割が生理前に何らかの不調を感じています。また、約8割の女性が生理前の不調にストレスを感じています。あなたの生理前の症状はどうですか?
 
生理前に不快な症状を感じることを、月経前症候群(PMS)と言います。

今の自分の症状は果たしてPMSなのか?生理前に関節が痛くなるのはPMSなのか?などの疑問や、PMSとは何か、またその原因と対策を合わせて解説します。

生理前に膝が痛くなる原因とは?月経前症候群(PMS)が関係している?

 
女性の身体は、月に一度卵巣から卵子が飛び出し(排卵)、妊娠が成立しなければ、約2週間後に妊娠のために厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちます。これが「生理」です。この生理には女性ホルモンが大きく影響しています。
 
生理初期は、女性ホルモンのバランスが安定せず、生理も不順になりがちです。18歳くらいからホルモンバランスは徐々に安定してきますが、日常生活の過ごし方によってはホルモンバランスが崩れるため、人によっては生理痛や頭痛などの月経前症候群(PMS)を引き起こす事があります。
 

月経前症候群(PMS)による膝の痛み

生理前は女性ホルモンの関係で、体内に水分を溜め込みやすく身体が浮腫みやすくなります。水分が体内に溜まることで、余分な水分が、頭痛や、腰痛、関節痛などを引き起こすことがあります。生理前は生理痛や腰痛を訴える人が多いですが、膝の痛みなど関節が痛む人もいます。

生理前はなるべく身体を温め、食事も出来るだけ塩分の濃いものは控えめにすることで、浮腫が軽減し、関節痛の痛みも穏やかになります。

生理前の膝の痛みには、妊娠初期症状や更年期症状の可能性も考えられます。
 

妊娠初期症状による膝の痛み

妊娠初期には、リラキシンという赤ちゃんの出産を促すためのホルモンが分泌されます。このリラキシンの分泌が増える事で、靭帯が緩みやすくなります。靭帯は関節を支えているため、靭帯の緩みは膝や関節痛につながります。
 
妊娠初期は、無理のない程度に湯船につかり、負荷をかけている筋肉をほぐすことが大切です。
 

更年期症状による膝の痛み

更年期世代になると、女性ホルモンのエストロゲンが減少することで、関節の痛みなどの症状が出やすくなります。
 
関節を温め、血流を促進させることが大切です。
 
 

月経前症候群(PMS)の原因について解説!

 
現在では、「生理痛」に悩む女性は、約6割もいると言われています。さらにそれを上回るほど、生理前に何かしらの不調を感じるという女性は、約9割です。また、生理前に何かしらの不調を感じつつも、それが「月経前症候群(PMS)」だということを知っている女性は約4割程度です。

つまり、多くの女性が、自覚症状を持ちながらも、月経前症候群(PMS)だと分からずにいるのです。
 
月経前症候群(PMS)を改善させるために、まずは月経前症候群(PMS)とは何なのか、さらにその原因について見ていきましょう。 
 

月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群(PMS)とは、生理の1〜2週間前から起こる不調のことで、以下が代表的な症状です。
 

  • 下腹部痛
  • 頭痛
  • 浮腫
  • 食欲増進
  • 眠気
  • イライラ
  • 便秘
  • 胸の張り など
  •  
    PMSの症状は200種類以上あり、必ずしも下腹部痛や頭痛といった代表的な痛みばかりでは無く、関節痛のような膝の痛みなどを発症する人も少なくありません。
     

    月経前症候群(PMS)の原因

    女性ホルモンには、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つがあります。エストロゲンは排卵を起こすため排卵時期に分泌量が増え、排卵後は減ります。入れ替わりに、排卵後はプロゲステロンの分泌量が増えます。
     
    月経前症候群(PMS)を引き起こす原因は、排卵後に増加するプロゲステロンの影響です。
     
    プロゲステロンとは、厚くなった子宮内膜を維持する働きや、基礎体温を上昇させる働きがあります。その他、生理の時の出血に備えて、生理前に体内に水分や栄養を溜め込む働きがあります。

    この「溜め込む」作用により、生理に向けて子宮に血液が集まるため、子宮が一時的に少し大きくなることで、下腹部痛が起きたり、大腸の腸壁から水分吸収が促され、腸の運動が抑制されるために便秘になったりします。
     
    他にも、水分を体内に溜め込む作用が働くと、身体全体が浮腫んだり、頭痛になったりと、不快な症状が現れてきます。
     
    このようにプロゲステロンの作用で、生理前の準備として子宮に血液が集まることで、全身の血流が悪くなり、多くの不調が起こるのです。
     
    生理が始まったら、不快な症状が緩和されたり、症状自体が無くなってしまうことも、月経前症候群(PMS)の大きな特徴でもあります。
     
    痛みや、怠さを我慢せず、生理前も快適に過ごすには、心身のケアが必要不可欠です。
     
     

    月経前症候群(PMS)の関節痛以外の症状とは~頭痛や胸の張り、イライラも

     
    女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは排卵を軸にして約1ヶ月の間に分泌されます。エストロゲンは女性らしい身体を作るホルモンで、若返りホルモンと言われているためエストロゲンが多く分泌された方が良いように感じるかもしれませんが、2つのホルモンのバランスが保てる事で、生理だけでなく健康的な心身が保てるのです。

    逆にこの2つのホルモンのバランスが乱れる事で、月経前症候群(PMS)の症状はより強くなります。生理は1ヶ月の生活の通信簿と言われる程、その人の日々の生活習慣が影響します。疲れやストレス、体力低下、生活習慣の乱れなど様々な要因でホルモンバランスが乱れる事で、月経前症候群(PMS)の症状やその強さが変わります。毎月違う症状が出ても不思議ではありません。
     
    女性は女性ホルモンの影響を受けて、約1ヶ月の間で、目まぐるしく身体が変化していきます。特に、胸や子宮はその影響を受けやすい場所になります。生理前に身体に起こる月経前症候群(PMS)の症状は以下のようなものがあります。
     

    月経前症候群(PMS)の身体的症状

  • 胸の張り
  • 便秘
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 肌荒れ
  • 食欲増進
  • 眠気
  • 下腹部痛
  • 怠さ
  • 浮腫
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    月経前症候群(PMS)の精神的症状

    PMSは身体への影響だけでなく、心に影響する人も多いので、生理前の自身の症状をよく観察してみるとよいでしょう。以下のような精神的な症状が見られます。
     

  • イライラする
  • 無気力
  • 泣きたくなる
  • 不安になる
  • 集中できない
  • 憂鬱
  • 倦怠感
  • 攻撃的
  • 情緒不安
  • 自己否定
  •  
     

    月経前症候群(PMS)のつらい症状が起こりやすくなる要因とは?

    月経前症候群(PMS)は、ホルモンバランスが乱れているほど、症状が強くなる傾向があります。ホルモンバランスは、日々の生活が大きく影響します。
     

    月経前症候群(PMS)の症状が強くなるワケ

    ホルモン分泌の司令塔は脳の「視床下部」というところです。疲労や病気など身体的なストレスや、精神的なストレスがかかると、脳はストレス処理に追われ、視床下部の本来の機能を果たす事ができなくなります。ホルモン分泌の指示がうまく出せなくなり、ホルモンバランスが乱れます。
     
    女性の身体は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンのバランスを保つことで、健康的な心身を保つことができ、さらに生理などの女性の機能を維持できます。日々の生活の中で身体的または精神的なストレスを受ける事で、ホルモンバランスが乱れ、PMSが出るのも想像ができると思います。
     

    月経前症候群(PMS)が起こりやすい人

    約9割の女性が何かしらのPMSを感じている現在では、多くの女性が身体的または精神的なストレスを抱えているという事です。特に以下のような人にPMSは起こりやすい傾向があります。

  • ストレス過多
  • 冷え性
  • 不規則な生活
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    PMSは環境の変化やストレスで悪化しやすくなります。

    ホルモンバランスの乱れは、身体的ストレスや精神的ストレスにあるため、これらを減らすために、まずは栄養バランスの取れた食事、睡眠をしっかり取る、適度な運動などストレス発散をすることを心がけてください。心身の負担が減ると、少しずつホルモンバランスも整っていきます。
     
     

    月経前症候群(PMS)を軽くしたい!対処法をご紹介

     
    月経前症候群(PMS)は、生理がある女性であれば、誰もが経験する可能性があります。症状をできるだけ抑えるために、自宅でもできるセルフケアをご紹介します。
     

    ・身体を温める

    PMSはもちろんですが、生理痛がある方も、大体は身体が冷えています。生理にかかわらず一年中女性は身体を冷やすのはNGですので、日々、腹巻や、インナーパンツなどで下半身を温めることをおすすめします。PMSが出そうな時はより身体を冷やさないよう意識しましょう。

    ・仙骨を温める

    仙骨を温める
    仙骨とは腰の中央、背骨の一番下に在る三角形の形をした骨のことをいいます。仙骨を温めることで、骨盤周りの血流も促進され、下半身の冷えも緩和されます。
     
    仙骨は、身体の中でも、効果的に副交感神経を刺激できる場所でリラックスすることができます。痛みが強い日は、湯たんぽやホッカイロを使って、仙骨とおへそ周りをサンドイッチするように温めてあげると効果的です。
     

    ・ストレス緩和

    急な環境の変化や、忙しさのあまり身体の緊張状態が続くと、身体の血流が悪くなりPMSの症状を悪化させることがあります。
    湯船にゆっくり浸かり、身体の緊張状態を緩めましょう。また、好きな香りを炊いて、リラックスできる環境を作るのも大切です。
     

    ・早めの就寝

    夜ベッドに入っても、スマホが手離せない、という方は多いと思いますが、その”寝ながらスマホ”が睡眠の妨げになっています。
    寝る直前までスマホを使っていると、交感神経が高まり、脳がリラックスできずにいます。
     
    リラックスすることで、深い眠りにつけます。できれば、睡眠の30分前には、スマホを使用するのはやめて、寝る準備をしましょう。
     

    ・白湯を飲む

    PMSを感じる方は、身体の冷えを持つ方も多いです。
    朝起きてからの最初の一杯を白湯にするだけで、体温が上がりやすくなります。朝の空腹時に温かい白湯を入れることで、内臓も温まり、身体の循環促進にもなります。
     

    ・ストレッチ

    最近テレワークも多くなり、仕事のONとOFFが掴めずにいる人が多いようです。出来ることなら、30分に1度は肩を回したり、腰のストレッチをするなど身体を緩めましょう。緩めることで、血液が巡り、PMSの改善につながります。
     
    PMSの原因やセルフケアについて説明してきました。自分の症状やその原因は、自分自身の身体と普段の生活習慣を見直さなければ気づきません。PMSの症状が出る方は、少なからず身体が冷えていますので、冷える生活習慣の改善を心がけましょう。

    紹介したセルフケアの一つでもいいので、継続できるものを見つけて、地道に続けていくことが
    PMSの改善の近道です。

    今の症状がこれ以上重たくならないよう、自分自身の身体を丁寧に、ゆっくりケアしていきましょう。
     
    今は、女性もハードワークをこなす時代なので生理を言い訳に休めないと思っている女性はまだまだ多いかもしれません。最近、少しずつ生理のことに関してオープンになっている会社も出てきました。少しでも、女性が無理なく働ける環境作りが進むためにも、女性自身が知識を深める事はもちろんですが、パートナーや家族も生理とPMSについて理解を深めることが大切です。

    nana
    吉本 悠子
    生理・子宮の専門家