コロナウイルスの終息が見えず不安な毎日をお過ごしのことと思います。
コロナウイルスは肺炎に似たような症状が出ております。咳、高熱、呼吸不全など。漢方理論で考えると五臓の肺のトラブルになります。
こんにちは。漢方未病ケアセラピストの伊東純子です。
今回は、私なりに漢方理論でコロナウイルスについて考え、その対策方法についてお伝えします。
肺の機能
肺は外部の情報をキャッチする臓器です。外気が寒い場合は毛穴を閉じ体温が下がらないように調整しますし、外気が暑い場合は毛穴を開き発汗(熱と水分を外に出し)し体温を調整します。
肺の機能が低下すると、この働き(毛穴の開閉機能)が低下し、邪気と言われる病気の原因が入りやすくなります。
肺には2つの機能があります
・気(やる気、元気、活力など生きていくために必要な力)を作り分配する
・水分代謝
肺の機能が低下すると、気が低下します。気には防御作用があり、免疫力が低下します。さらに、水分代謝が低下し、咳や痰などの症状が出ます。痰などで気道が塞がれると呼吸困難になり気管支喘息になり、更に熱を持った状態が肺炎になります。
肺には、熱伝導性の高い金属のような性質があります。そのため、肺炎になると熱が早く伝わって高熱が出るのだと思います。
漢方的、コロナ対策
肺を整えるには、肺だけではなく、肺と表裏関係にある大腸の両方を整える必要があります。
<肺と大腸を整えるためのポイント>
- 乾燥をさせない
- 腸内環境を整える
- 気を補い蓄える
- 心の状態を安定させる
これらを食べ物や生活習慣で整えるとすると、以下のような方法が効果的です。
1.乾燥させない食品
潤い:大根、白キクラゲ、百合根、はちみつ、金柑
良質な脂質を含む木の実を取る:松の実、くるみ、銀杏、落花生など
2.腸内環境を整える食品
腸内環境:ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、キムチなどの発酵食品
3.気を補い蓄える食品
気を補う:かぼちゃ、さつまいも、山芋、レンコン、棗(なつめ)、人参
柿、桃、あんず、びわ、バナナ、かりん、イチジク、梨などの甘みと水分を含む果物
4.心を安定させる生活習慣
しっかり呼吸をする
しっかり寝るです。
不安な時には自然と呼吸は浅くなり、眠りが浅くなります。意識して呼吸をするようにしましょう。
その他の対策
その他にも、肺と大腸のケアには、植物療法と温熱療法を同時に行えるハーブボールを使った対策も有効です。
ハーブボールは、蒸して使うので湿度(潤い)もしっかりあります。電子レンジでチンして温めて使う、もしくは蒸し器で蒸して使います。
ハーブボールの作り方
<用意するもの>
- ブルーシートまたはハーブが入るボール
- ハサミ
- ハーブ
- 豆類
- 塩
- 加熱するための蒸し器または電子レンジ
- ハンドタオル2枚
<作り方&使い方>
- ハーブが大きい場合はちぎり、全体を均等に混ぜる
- 布(20~25cm ×20~25cm)の中央に材料を適量入れる
- 布の四つ端を折り込み、タコ糸でしっかり縛る
- 塩水で濡らし、電子レンジで2分又は蒸し器で10分程度温める(大きさによる)
- タオルで余分な水分を取りながら、温度をみて適温になったら素肌に直接押し当てる
温かい状態で体に当てるだけのお手軽セルフケアができます。
<ハーブボールを当てる場所>
- 胸周りに充てることにより横隔膜がしっかりと動き、呼吸がスムーズになり深くなります。
- お腹周りに充てることにより、腸の緊張が緩和し、腸が動きやすくなります。
心と体が温まり、緩み、安心することで質の良い睡眠をとりやすくなります。
ハーブボールの保存方法
- 使用後は紐をほどいてハーブを乾かし、水分を乾燥させてからジップロックに入れて冷蔵庫保存
(一週間程度、香りが無くなるまで使用できます)。使用時に再度ハーブを布に包み、水で濡らし温める。 - 使用後はお風呂に入れたり、お庭のハーブの肥料として土に戻してください。
注意事項:熱い時や色落ちが出るおそれのある時はタオルで包んで使用してください。
ハーブの用意について
お庭で育てているハーブを干す。
ハーブショップ(生活の木、グリーンフラスコなど)、ハーブティー屋さんなどで購入する。
ハーブボールには、心を安定させる働きもあります。
漢方では、肺の機能が低下することによって現れる感情は、悲しみ、孤独感、気鬱、沈鬱と言われています。
ハーブボールはなんとも言えない温かさ、柔らかさ、優しい穏やかな香りに包まれます。心と体が温まり、緩み、安心感に包まれるため、これらのマイナスな感情にもプラスに作用します。
今回は、コロナ対策として、肺と大腸を整える具体的な方法をお伝えしました。
普段、漢方に馴染みのない方には、初めて聞く用語や考え方かもしれません。ハーブボールの材料なども、生活の木などのハーブショップで手軽に手に入る物ですし、スーパーで手に入る食材ばかりですので、是非普段の生活に取り入れてみてください。
こんにちは。漢方養生指導士、バランスコーディネーターの片倉一枝です。
今、新型コロナウィルス感染症対策として、手洗いや咳エチケットなどはすでに習慣になっていますね。
その他の対策としていわれていることのひとつに、「免疫力」アップ! があります。
免疫力を高める食材の紹介や、麹や乳酸菌などの発酵食品で腸内環境を整えるなど、キーワードとなるものはいろいろと取り上げられていますが・・・
それを食べているだけで大丈夫なの?
そもそも免疫力が上がる仕組みって?
仕組みと食べ方がわかっていれば、先日の報道であったような「コロナに効果あり!」とうたう健康食品にひっかかることもありませんね。
また、こんなことはありませんか?
*食べると眠くなる *食べるともたれる
*肌や唇のツヤがない *疲れ気味
*やる気がおこらない *だるい
*カゼをひきやすい
実はこのサイン、放っておくと免疫力は下がっていき、肌ツヤも失われていく・・・かもしれません。
では、免疫力を上げるには、実際どうしたらいいのでしょうか?
それは「食事のとり方」にポイントがあります。まず、免疫力が作られる仕組みを見てみましょう。
ここでは、漢方の考え方でお伝えするので「五臓六腑」のうち免疫力を作り出す「脾」と「胃」にフォーカスしていきます。
その機能やはたらきや仕組みを知り、なるほど!と腑に落ちることで、「免疫力を上げるための食事のとり方」を自ら実践したくなる!
ことを目標にしたいと思います。
現代はどちらかというと西洋医学の考え方によるサプリの摂取や健康法の情報が多く、漢方の考え方や養生にはあまり慣れ親しんでいません。
例えば「脾胃のはたらき」を「胃腸のはたらき」と言えばわかりやすいかもしれませんが、胃腸のはたらき以外にも様々なはたらきがあるのが、漢方でいう「脾」と「胃」です。
なんとなく広いイメージを持ちながらお読みくださいね。
免疫力を作り出す「脾胃」のはたらき
漢方には「体に必要なものは五臓六腑によって作り出され、全身に巡らせている。」という考え方があります。
体に必要な免疫力も、バリア力も、そしてお肌のツヤも潤いも、もっと言えばエイジングケアに必要なチカラも・・・その元を作り出すのは五臓六腑の中の「脾」と「胃」 です。
「脾胃」という言い方もあるように、「脾」と「胃」はセットで働きます。
「胃」のはたらき
「胃」は、飲食物を受け入れ初期の消化をおこなうところです。
「胃」の調子が整っていると免疫力のタネがスムーズに作れるのですが、冷たいものや脂っこいもの甘いものの食べ過ぎや、偏った食事をしていては、「胃」の調子は悪くなりそもそもの良いタネが作られないことになります。
食欲がない、「胃」が詰まった感じに注意
実はこの「胃」には見えない「気」が存在していて、不調により気が滞ったり気が上がったりすると、詰まった感じや吐き気などの症状を引き起こします。
「脾」のはたらき
「脾」は臓器の名称ではなく、体内で起こる生理機能・はたらき を表したものです。
*ここでは簡単に「脾」と書いていきます。
主な3つのはたらきを見てみましょう!
免疫力や肌ツヤの元を作り出す
「脾」は主に消化吸収を担当しています。
胃で初期消化をしたものを、栄養物質に作りかえ、その栄養物をまた体に必要なものに変えて、全身に運ぶはたらきを担当しています。
バリア力を作り出す
「脾」は作り出した潤いの元を「肺」に送ります。
乾燥が苦手な「肺」の臓器を潤す役割も果たします。皮膚の表面には「衛気」という見えない気を送り出し張り巡らせます。「衛気」は、菌やウィルスの侵入を防ぐ見えないバリアの役目をしています。
免疫力に必要な元気を作り出す
体に必要な栄養はもちろんのこと、心の栄養もまた食べ物から作られるという漢方の考え方があります。「脾」は
ここまでをまとめると、「免疫力もバリア力も肌ツヤも、「脾」と「胃」の消化力が作り出します。」
私たちの免疫力やバリア力を高め、肌を艶やかにし、心を健やかに保つためには、「脾」と「胃」の消化力がはたらいてこそです。
しっかりと免疫力をつけるには、免疫力のタネと元を充分に作り出すことが必要なのです。
免疫力の元になる代表的な食材
穀類、山芋など芋類、豆類、かぼちゃ、人参、しいたけなどキノコ類、れんこん、大根、りんご、いちごなど果物、なつめ(大棗)、きくらげ、アーモンド、くるみ、松の実、肉、魚、卵 ・・・ などです。
(ここでは説明は省略します)
知っておこう!免疫力を上げる食べ方
「脾」と「胃」の簡単な仕組みと、消化力の必要性がわかったところで、ではどのようにすればいいでしょうか。
それはとてもシンプル!
よく噛む
しっかり噛むことにより唾液の力を借りて消化力をアップさせます。脳に信号が送られ、体が機能していきます。
食事を楽しむ
会話を楽しみながらゆっくり食事をすると、消化によいだけでなく、心が満たされ吸収もよくなります。
冷たいものを摂り過ぎない
胃を冷やすと、体も冷えて、免疫力が下がります。せっかく良い食材を使ったものも冷たいよりは温めて!(スムージーなど)
腹8分目を心がける
食べ過ぎは消化の邪魔をします。
朝食を抜かない
朝の食事は「気」を補うことからも大切です。消化のよいものをいただきましょう。
間食や就寝前の食事は控える
胃に負担をかけないようにしましょう。
免疫力の低下、体の出すサインを見落とさないようにしましょう
最後に、免疫力低下の兆し、「脾胃」の消化力が低下すると体はどんなサインを出すのかを押さえておきましょう。
「胃」は、ムカムカやもたれるなどのサインを出します。これはわかりやすいですね。
「脾」は、
肌ツヤがない、唇の色ツヤが悪い、肌が乾燥する、口角に口内炎ができるといったサインを出します。また、元気のもと、やる気のもとの「気」が作られないので、体がだるい、疲れやすい、気力が起こらないといったことが起こります。
他にも、皮下出血が起こりやすい、軟便・下痢気味になる・・・など。
そして、「脾」の弱い人が無理をしないように、眠くさせてくれるんです。
そう、食べると眠くなるのは、「脾のはたらきが弱くなっているサイン」なのです。
このように、免疫力をあげる体の仕組みの大元は消化力にあります。
質のよい食材を、免疫力に変えていくには「脾胃」がはたらくような「食べ方」も大事!というお話でした。
免疫力があがれば、バリア力が強くなり、お肌ツヤツヤ!基礎体温が上がり、さらにまた免疫力があがる!!
今こそ、免疫力を底上げするために、食材選びはもちろんのこと、食べ方にも気をつけていきましょう!!
こんにちは。薬剤師の下川麻里です。
私は薬剤師ですが、薬を使わずに解決できる患者様には、ハーブやアロマ、薬膳などの自然療法を使ってケア方法を指導しています。
多くの症状は、「冷え」から引き起こされます。
「冷え」と一口に言っても、使う漢方はその方によって異なります。
病気の症状にフォーカスする西洋医学では、冷え性は体質ととらえられていて、それだけでは 治療の対象にはなりません。
一方、漢方では、冷え性はそれだけで治療に値する、と考えられています。
漢方では 症状のある人の体全体を診ます。ですから、同じ症状があるからといって、必ずしも同じ漢方薬が選ばれるとは限りません。ただ、症状によって 使われる漢方薬の傾向はあります。
女性のための三大漢方薬
婦人科の治療薬として代表的な、三つの漢方薬をご紹介します。
- 当帰芍薬散
- 桂枝茯苓丸
- 加味逍遥散
漢方では、気・血・水の三本の柱が体を支えている、と考えます。上にあげた三つの漢方薬は、それぞれが、この気・血・水のいずれかに対応しています。
この三つの漢方薬を元に、タイプ別の冷え性の違いについて、説明していきます。
1 当帰芍薬散
三大柱の「血」に関連の深い処方です。
この薬は、四肢末端型の冷え性の方に 向いています。
血液の循環が滞って、手足の先まで循環しないことから、指先や足先に特に冷えを感じるタイプです。
10代~20代の女性に最も多く、立ちくらみ、ニキビ、月経異常などの症状も、よく見られます。
2 桂枝茯苓丸
三大柱の「水」に関連の深い処方です。
上熱下寒型といって、下半身が冷えているのに、上半身はのぼせて顔がほてっています。そのため、冷えとは気づきにくいので要注意です。更年期でよくみられる症状です。
ほてりや口の渇きのために、水分を摂りすぎる傾向があります。のぼせ、めまい、肩こり、肌荒れ、頭痛などの症状があります。
3 加味逍遥散
三大柱の「気」に関連の深い処方です。
ストレスが自律神経に影響して、血流が悪くなって冷えを感じます。
冷えだけでなく、不眠、集中力の低下、食欲不振などの症状も出ます。更年期障害にある、とらえどころのない不安感などに対しても 使われる処方です。
「冷え」は女性の人生を大きく左右します
「冷え」は、必ずしも上の三つだけに分類されるとは限りません。
体全体の新陳代謝が低下して、全身が冷えることもありますし、体のいろいろな部分に少しずつ不調があり、それが冷えにつながっていることもあります。
10代~20代の若いうちから冷えに注意すると、頭痛や月経不順から解放されて、ニキビや肌荒れの悩みも減ります。
気持ちが明るくなって、人間関係は良好。ステキな恋愛だって、すぐそこに!
妊娠・出産もスムーズ、更年期も無理なく迎えられます。
日頃から バランスのとれた生活を心がけて、体を冷やさないようにしましょう。
そして、「冷え性かな?」と思ったら、早めに対処しましょう。
「冷え」をきっかけに、自分のカラダと素直に向き合いましょう
今回ご紹介した三種類の漢方薬は いずれも市販されています。ですから、ご自分の症状が当てはまれば、試してみるのも良いと思います。
でも、二週間くらい続けても変化を感じなければ、中止して医師に相談して下さいね。
漢方薬も、薬です。
薬は だらだらと飲み続けるべきではありません。
そして、冷えの陰には 別の病気が隠れているかもしれません。
それを見逃さないためにも、やはり、専門家である医師の判断を仰ぐことは必要です。
まず冷えを意識することから始めましょう。
そして、ご自身のカラダと素直に向き合って、軽快な毎日をお過ごしください。
参考資料:冷え改善のススメ (監修 岡村 麻子 株式会社ライフ・サイエンス)