サラダ油とキャノーラ油の違いとは?どっちが健康に良い?揚げ物やドレッシングにはどの油がおすすめ?
スーパーには、さまざまな種類の油が並んでいます。その中でも見た目がそっくりな「サラダ油」と「キャノーラ油」ですが、この2つの違いを知っていますか?
「買う時に何となく安い方を買っている」なんて方も、サラダ油とキャノーラ油の違いを知れば迷うことなく、自分の目的に合った油を買うことができるでしょう。
今回は、サラダ油とキャノーラ油の違いを中心に、トランス脂肪酸・飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸とそれらの体への影響について解説します。健康に良い油を探している人はぜひ参考にしてください。
サラダ油とキャノーラ油の違いとは?どっちが健康に良い?
見た目がよく似ているサラダ油とキャノーラ油ですが、一体どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、以下の項目を中心に、両者の違いについて説明していきます。
- 製造方法
- 原材料
- 値段
- 味・風味
- カロリー・栄養価
- 酸化のしやすさ
- サラダ油とキャノーラ油どちらの方が健康に良い?
製造方法
サラダ油は、製造工程で精製を丁寧に行い、不純物を取り除いた油です。ドレッシングにして、サラダにかけてもサラサラな状態を保てるように開発されました。「サラダ油」の名前の由来もこの目的から来ています。
一方でキャノーラ油も、途中まではサラダ油と同様の製造工程を踏んでいきます。しかし、サラダ油ほどの精製加工をしていないのが特徴です。
原材料
サラダ油は、大豆・菜種・米・ベニバナ・トウモロコシなど、食用油脂に該当する種類のうち2種類以上をブレンドした油のことを指します。日本では、大豆油や菜種油を中心にブレンドされたものが多く販売されています。
キャノーラ油に使われている原材料は、主にカナダで品種改良された「キャノーラ」という菜種の品種です。もともとキャノーラは毒性のある植物でした。しかし、この毒性をごく微量にまで減らす改良を行ったことで、今では世界中で使用される油となっています。
値段
サラダ油・キャノーラ油に大きな価格の違いはありません。
スーパーやネットの販売価格は、1,000gあたり500〜600円前後となっています。ただし、プライベートブランドのものは、上記の値段よりも安価な場合が多いです。油は生活必需品のため、ご自身のお財布事情に合った商品を上手く活用していきましょう。
味・風味
サラダ油とキャノーラ油に風味や味の違いはありません。どちらも他の食材の味を邪魔せず、調理をはじめ、お菓子作りにも使いやすい油だと言えるでしょう。
カロリー・栄養価
サラダ油とキャノーラ油のカロリーは、100gあたり921kcalとなってます。どちらも主成分は植物油なので、カロリーに換算しても変わりはありません。
しかし、栄養価にはそれぞれ違いが見られます。
サラダ油には、血中コレステロールを上げにくくする「リノール酸」と、老化を防止する「ビタミンE」が多く含まれています。一方で、キャノーラ油にはLDL(悪玉)コレステロールを上げにくくする「オレイン酸」が多く含まれています。
酸化のしやすさ
酸化のしやすさは、サラダ油の方が早いので注意しましょう。特に大豆油を中心にブレンドされたサラダ油は、酸化が早いと言われています。その点、キャノーラ油は酸化がしにくい油です。もし、炒め油として使うのであれば、キャノーラ油の方が良いでしょう。
サラダ油とキャノーラ油どちらが健康に良い?
健康効果については栄養素の少しの違いはありましたが「サラダ油」と「キャノーラ油」に大きな違いはなく、一括りに「こちらの方が良い」とは言えません。もし「どちらを買ったらいいか分からない」という時は、生食ならサラダ油、揚げ物・炒め物にはキャノーラ油と、使う目的に合わせて選んでいきましょう。
油に関係するトランス脂肪酸・飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸とは?
油の話になると「トランス脂肪酸」「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」といったキーワードが必ず出てきます。ここでは、この3つのワードについて解説していきます。
トランス脂肪酸とは
「トランス脂肪酸」と聞くと、あまり良い印象を持たない人が多いのではないのでしょうか。
トランス脂肪酸は、天然で食品に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程で作られるものがあります。
天然の食品に含まれているものは、バターや牛乳、牛肉です。牛や羊の位の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸は作り出されています。一方で世間的に良い印象を持たれないのは、油脂の加工・精製でできるトランス脂肪酸のせいでしょう。主にマーガリンやショートニング、パンやケーキ、スナック菓子に含まれています。
また植物からとった油を精製する工程で、ニオイを取り除くため高温処理することで、トランス脂肪酸が発生します。そのためサラダ油などの精製した油にも、微量のトランス脂肪酸は含まれるのです。
トランス脂肪酸は良くないもの!?
天然のトランス脂肪酸と加工・精製されたトランス脂肪酸にどのような違いがあるのか、健康に悪影響を及ぼすのかについての十分な科学的情報はありません。
同様に「加熱するとトランス脂肪酸の量が増える」という情報が世間に出回っていますが、その情報にも根拠はまったくないのです。国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構でも、加熱によるトランス脂肪酸の増加については「研究中」との答えを出しています。
しかし、いくら科学的根拠がなくとも「心疾患」「アレルギー性疾患」「肥満」など、過剰摂取による健康被害は報告されています。そのためWHOでは、トランス脂肪酸の1日の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とするよう提示しています。
飽和脂肪酸は摂り過ぎに注意!
「飽和脂肪酸」は、常温で固まる脂に多く含まれているとされています。主に肉やバター、ラードなど動物性の脂、近年国内で需要の高まっているパーム油などです。「トランス脂肪酸」も飽和脂肪酸に含まれます。
飽和脂肪酸は、摂取しすぎると血中の悪玉コレステロール値があがり、動脈硬化の原因になるので注意してください。飽和脂肪酸の1日の摂取目安は総エネルギーの7%以内に収めるのが理想的です。
不飽和脂肪酸は適度に取り入れよう
「不飽和脂肪酸」は、植物や魚の油に多く含まれています。常温では液体の状態の油です。
油脂はいくつかの脂肪酸から成り立っていますが、その中で不飽和脂肪酸は人の成長に欠かせない役割を果たしています。その中でも特に、植物油に多く含まれるリノール酸とα-リノレン酸は、必須脂肪酸と呼ばれ、体内では作ることができない栄養素です。
リノール酸は、サラダ油やごま油、大豆油などに多く含まれています。
また「オレイン酸」は体内で合成できますが、効率よく摂取するために植物油から積極的に取り入れたい栄養素です。こちらは、キャノーラ油、ベニバナ油、オリーブオイルに多く含まれています。
「健康に良い油」の種類とは?
健康に良い油は不飽和脂肪酸の中でも「オメガ3脂肪酸」「オメガ6脂肪酸」「オメガ9脂肪酸」を含んでいるものと言われています。
オメガ3脂肪酸 | ・必須脂肪酸(人体で生成できない) ・動脈硬化予防、血圧を下げる |
エゴマ油 亜麻仁油 |
オメガ6脂肪酸 | ・必須脂肪酸(人体で生成できない) ・白血球の活性化 |
ごま油 グレープシードオイル |
オメガ9脂肪酸 | ・体内で生成可能 ・コレステロール値を下げる、便秘予防 |
キャノーラ油 オリーブオイル |
健康に良い油とは?揚げ物やドレッシングにおすすめの油は?
ここでは、サラダ油とキャノーラ油が揚げ物やドレッシングに使えるのか、加熱・非加熱どちらが良いのかについて解説していきます。さらにこの2つの油以外にも、揚げ物やドレッシングに向いているおすすめの油の種類をご紹介していきます。
揚げ物におすすめの油は?
揚げ物におすすめの油の種類は「キャノーラ油」「トウモロコシ油」「こめ油」の3つです。
いずれの油も、揚げた後の劣化が起こりにくいのが特徴です。そのため、揚げ物の保存性も非常に優れ、時間がたっても胃もたれしにくいと言われています。加熱に強いので、炒め油として使うのもおすすめです。
ドレッシングにおすすめの油は?
ドレッシングにおすすめの油は「サラダ油」「オリーブオイル」「ごま油」の3つです。
サラダ油は常温でも混ぜやすく、風味の邪魔をしません。香りや素材の味を活かしたドレッシングを作りたいときには最適です。
「オリーブオイル」や「ごま油」は、ドレッシングに風味を足したい時や洋風・中華風にしたいときに使い分けるのがおすすめです。
お菓子作りのサラダ油はキャノーラ油で代用できる?
シフォンケーキや乳製品を使わないお菓子作りのレシピで、よくサラダ油を使うレシピが出てきます。「わざわざサラダ油を買わなくちゃいけないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この代用品として、キャノーラ油は使用可能です。
理由としては、粘度がほぼサラダ油と同じであり、生地に混ざりやすいこと。キャノーラ油は無味無臭であり、お菓子の風味に影響を与えないことが挙げられます。
お菓子作りにはキャノーラ油の他に、こめ油を代用するのもおすすめです。
まとめ
本記事では、サラダ油とキャノーラ油の違いを中心に、トランス脂肪酸・飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸について、健康に良い油の種類などを、解説していきました。
サラダ油とキャノーラ油には、使用目的と原材料、栄養価、酸化のしやすさに大きな差がありましたね。酸化した油は胃もたれなど、健康を害します。そのため、とくに大豆油を中心にブレンドしたサラダ油は酸化しやすいので、買い求める時には注意するようにしましょう。
サラダ油もキャノーラ油も、それぞれクセがなく使いやすい油です。だからこそ、あらためて違いを知ることで、次にスーパーで買う時には、もう迷わなくなるはずです。
それぞれの特徴にあった使い方をして、お料理を楽しんでくださいね。