摂り過ぎた塩分を排出する食べ物・飲み物は?カリウムを含む食品も解説!

摂り過ぎた塩分を排出する食べ物・飲み物は?カリウムを含む食品も解説!

日本人の食事は塩分が多いといわれています。味が濃いと分かっていても、つい食べ過ぎてしまうこともありますよね。そんなとき、塩分を体から排出するのに役立つ栄養素があります。今回は、塩分を排出する栄養素であるカリウムを摂れる食べ物・飲み物を紹介します。

日本人は塩分を摂り過ぎている?その原因とは?

日本人は塩分を摂り過ぎていると言われています。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で設定されている1日の塩分の摂取目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。しかし、日本人の1日の塩分摂取量はこれを大きく超えており、令和元年の調査では男性10.9g、女性9.3gでした。
 
日本の食事には、味噌や醤油、漬物や汁物など、塩分を多く含む食品や調味料がよく使われます。そのため、塩分が多くなりやすい傾向があります。
 

塩分を摂り過ぎるとどうなるの?

塩分の摂り過ぎは、体を構成する細胞と細胞の間に水分が溜まり、むくみを引き起こします。
 
また、血液量も増え、血管にかかる圧力が増すため、血圧も高くなります。高血圧は脳卒中や心臓病、腎臓病を引き起こすリスク要因です。
 
さらに、塩分が多い食品の過剰摂取は、胃がん・食道がんのリスクも高めることが知られています。
 

塩分を摂り過ぎてしまった時に排出を促してくれる栄養素とは?カリウムは効果的?

減塩するためには、塩分を摂らないようにするだけでなく、体から排出する方法もあります。
ここでは、塩分を体から排出する栄養素について解説します。
 

カリウム

ミネラルの一種で、体内の水分量を調整している栄養素です。体内の塩分を尿中に排出しやすくする働きがあります。カリウムは食べ物全般に含まれていますが、特に野菜類や果物類に多い栄養素です。
 
高血圧などの病気を予防するために、1日の摂取目標量が設定されています。成人男性では3,000mg以上、女性では2,600mgです。
 

食物繊維

腸内で余分な塩分を吸着し、便として体の外に排出する働きがあります。野菜類、きのこ類、海藻類などに多く含まれています。
 

塩分を摂り過ぎてしまった時に飲むべき飲み物や食べ物を解説!

摂取した塩分を体から排出するためには、カリウムを多く含む食べ物や飲み物を摂る必要があります。
 

カリウムを多く含む食べ物

カリウムを多く含む食べ物には野菜や果物があります。
 

野菜類

野菜にはカリウムだけでなく、食物繊維も含まれているため、塩分を排出するのに役立つ食品といえます。ここでは、カリウムを特に多く含む野菜・果物を紹介します。

野菜の種類 可食部100g当たりの
カリウム(mg)
ほうれん草 690
枝豆 590
水菜 480
ブロッコリー 460
かぼちゃ 450
れんこん 440
カリフラワー 410
ごぼう 320
にんじん 270
にがうり 260
オクラ 260
大根 230
トマト 210

 
カリウムは水に溶けやすいため、ゆでるとゆで汁に流出してしまいます。ゆでるより生で食べる方がカリウムを多く摂取できます。
 
ただし、生野菜はかさばってたくさん食べられないのが難点です。ゆで汁ごとスープにすると、加熱により野菜のかさが減って食べやすくなり、カリウムも余さず摂取できるためおすすめです。
 

果物類

果物もカリウムが多く含まれる食べ物です。間食をお菓子から果物に変えることで、カリウムをより多く摂取できます。特にバナナやキウイフルーツはカリウムを多く含み、手軽に食べられるためおすすめです。

果物の種類 可食部100g当たりの
カリウム(mg)
アボカド 590
バナナ 360
メロン 340
キウイフルーツ 300
ざくろ 250
さくらんぼ 210

カリウムを多く含む飲み物

カリウムを多く含む飲み物はたくさんあります。
 

トマトジュース、野菜ジュース

1パック(200g)あたり、トマトジュースには520mg、野菜ジュースには400mgのカリウムが含まれています。食塩が添加されたものも売られていますが、塩分の摂り過ぎを防ぐため、食塩無添加のものを選ぶようにしましょう。
 

フルーツジュース

果物の種類や製造方法によってカリウムの量は異なりますが、いずれもカリウムを摂ることができます。特にカリウムの含有量が多いパイナップルジュース、オレンジジュース、グレープフルーツジュースがおすすめです。
 
果汁の量が少ないとカリウムも少なくなってしまうため、果汁100%のジュースを選ぶようにしましょう。
 

フルーツジュースの種類 1パック200gあたりの
カリウム(mg)
パイナップルジュース(ストレート) 420
オレンジジュース(濃縮還元) 380
パイナップルジュース(濃縮還元) 380
オレンジジュース(ストレート) 360
グレープフルーツジュース(ストレート) 360
グレープフルーツジュース(濃縮還元) 320
みかんジュース(ストレート) 260
みかんジュース(濃縮還元) 220
りんごジュース(濃縮還元) 220
りんごジュース(ストレート) 154
ぶどうジュース(ストレート) 60
ぶどうジュース(濃縮還元) 48

 

豆乳

1パック(200g)あたりに含まれるカリウムの量は、無調整豆乳では380mg、調整豆乳では340mgです。また、豆乳飲料(麦芽コーヒー)にも220mgのカリウムが含まれています。
 
より多くカリウムをとりたい場合は、フレーバーのついていない豆乳を選ぶのがおすすめです。
 

牛乳・ヨーグルト

牛乳200gからは300mg、ヨーグルト100gからは170mgのカリウムが摂れます。また、ヨーグルト飲料200gには260mgのカリウムが含まれています。
 

コーヒー

コーヒーからもカリウムが摂取できます。コーヒー1杯(140g)あたりのカリウムの量は91mgです。
 
ただし、コーヒーにはカフェインも多く含まれているため、カリウム摂取を目的に大量に飲むのはおすすめできません。大人では、1回のカフェイン摂取量が体重1kgあたり3mg(体重50kgであれば150mg)までであれば急性毒性は現れないといわれています。ただし、カフェインへの反応には個人差があります。
 
コーヒーを一度に飲む量は、体格や体質に合わせ、1~2杯に留めるのがよいでしょう。
 

緑茶(玉露)

緑茶の中でも、玉露にはカリウムが多く含まれます。玉露とは緑茶の一種で、一番茶の新芽を藁などで20日ほど覆って栽培されたものです。栽培に手間がかかることから高級茶として出回っています。
 
一般的な緑茶である煎茶や、そのほかのほうじ茶、紅茶、麦茶などにもカリウムは含まれますが、量は少量です。
 

お茶の種類 コップ1杯200gあたりのカリウム(mg)
緑茶(玉露) 680
緑茶(煎茶) 54
ほうじ茶 48
ウーロン茶 26
紅茶 16
玄米茶 14
麦茶 12

 

塩分を排出してくれるコンビニで買える食べ物・飲み物ランキング3選!

塩分を排出してくれるコンビニで買える食べ物と飲み物をそれぞれランキング形式で紹介します。
 

食べ物ランキング3選

1位:バナナ
1本(可食部120g)あたり
カリウム:430mg
食物繊維:1.3g
 
2位:ヨーグルト
1パック180gあたり
カリウム:310mg
食物繊維:0g
 
3位:枝豆
100g(可食部50g)あたり
カリウム:250mg
食物繊維:2.3g
 

飲み物ランキング3選

1位:野菜ジュース
伊藤園「1日分の野菜」200mLあたり
カリウム:645mg
食物繊維:0.8~2.9g
 
2位:トマトジュース
カゴメ「カゴメトマトジュース 食塩無添加」 200mLあたり
カリウム:160~830mg
食物繊維:0.8~2.3g
 
3位:調整豆乳
キッコーマン「調整豆乳」200mLあたり
カリウム:329mg
食物繊維:0.4g
 

塩分摂取量を減らすコツとは?

1日の塩分の摂取目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。塩分摂取量を減らすには、塩分が多い食品や調味料を控えることが大切です。
 
日本人の塩分摂取の7割は調味料からと言われています。塩・しょうゆ・みそなど、特に塩分の多い調味料は使用量を減らしましょう。
 
ここでは、塩分摂取量を減らすための具体的な方法をご紹介します。
 

薄味でもおいしく食べられる味つけに

酢やこしょう、とうがらしなど、塩分が含まれていない調味料を活用すると、減塩しながらおいしく食べられる味つけになります。ハーブやしそ、しょうが、わさびなどの香味を活用するのもおすすめです。
 
また、天然だしをしっかり取ることでうま味が増し、塩分が少なくてもおいしく食べられるようになります。だしは昆布やかつお節、しいたけなど、複数の素材から取ることで相乗効果が生まれ、よりおいしく感じやすくなります。
 

「かける」より「つける」

料理にしょうゆやソース、ドレッシングなどをかける場合は、お皿に残るほどかけ過ぎないようにしましょう。また、直接かけるより、小皿にとり料理をつけて食べるほうが摂取量を抑えられます。
 

塩分が多い食品は?

梅干しなどの漬物、ソーセージなどの加工肉、かまぼこなどの練り物には塩分が多く含まれています。食べ過ぎないよう注意が必要です。また調理する場合には、元々含まれている塩分量を考慮して、味つけは薄めにしましょう。
 

汁物やめん類のスープに注意

めん類のスープには塩分が多く含まれています。残ったスープは飲まないようにしましょう。また、みそ汁などの汁物にも塩分が多く含まれます。使うみその量を減らすか、減塩みそを使うのがおすすめです。野菜で具だくさんにすると、お椀に入る汁を減らせる上、カリウムもとれるので一石二鳥です。

塩分を摂り過ぎてしまいがちな日本人の食生活において必要な、塩分を減らすコツやおすすめの商品をご紹介しました。減塩するには、塩分を減らす工夫だけでなく、塩分を排出するカリウムや食物繊維を豊富に含む食材を積極的に摂りましょう。コンビニで手軽に手に入る商品もご紹介していますので、是非今日の食事から取り入れてみてください。

nana
成松 由佳
管理栄養士