これって尿漏れ?おりもの?水っぽい原因で考えられる病気とは?
「尿漏れ」なのか「水っぽいおりもの」なのかわからなくて困っている方は、婦人科などを受診する必要があるかもしれません。受診が遅れると、重大な病気が隠れていた場合にも治療が遅れて深刻な結果になることもあります。
しかし軽い尿漏れなら、日常生活を改善したり骨盤底筋トレーニングをしたりするなどのセルフケアで改善が期待できます。
この記事では尿漏れと水っぽいおりものの違いや、それぞれの原因や対策を詳しく解説します。
若い方を含めた40代以上の女性で、尿漏れや水っぽいおりものの悩みがある方に、わかりやすい内容になっています。
これって尿もれ?おりもの?判断する方法は?
尿漏れとおりものの違いは、出てくる部分が尿道なのか膣からなのかの違いですが、場所が近いので紛らわしく、わかりにくいものです。
尿漏れとおりものの違いを判断するには、まず粘り気や臭い、色の観察が重要なポイントです。
尿漏れであれば尿の臭いがするのが一つのポイントです。おりものであれば、乾くと下着に付着するので判断ができます。
しかし、水っぽいおりものの場合は、どちらなのか迷いますね。
まずは、尿漏れと、おりものの違いや特徴について、それぞれ詳しく解説しますので判断の目安にしてください。
尿漏れとは
尿漏れは医学用語で「尿失禁」(にょうしっきん)といい、自分がトイレに行きたいと思っていなくても尿がもれてしまうことをいいます。
40代女性の尿漏れを経験する割合は、3人に1人と言われています。
女性は男性よりも尿道がまっすぐで短く、尿漏れしやすい構造になっています。しかも尿道を支えている「骨盤底筋」が出産などで伸びて弱くなることが多く、トイレが近くなったり尿漏れしやすいのです。
また、尿道括約筋という筋肉が弱まると尿道を締めたり緩めたりする機能が低下し、尿漏れの原因になります。
おりものとは
膣の分泌物などが混じると白っぽく変化したり、下着につくと乾いて薄い黄色になったりすることもあります。
おりものの役割は膣の粘膜の保護や、細菌などから守り膣内を清潔に保つことです。また、排卵の前におりものの量や粘り気が増える理由は、精子が子宮内部に入りやすくするためです。
排卵の前は、さらさらした水っぽいおりものになり、生理前には粘り気が強まります。生理周期に伴って一定の変化がみられるので、日ごろから自分でチェックしておくのが大切です。
尿漏れなのか水っぽいおりものなのか判断に悩んだら、まずは自分の生理周期と照らし合わせてみましょう。
尿漏れなのか水っぽいおりものなのか判断する方法
尿漏れと水っぽいおりものを自分で区別する方法の一つとしては、おりものシートや下着についた液体の粘り気や量、臭い、色などが判断のポイントになります。
それでも尿漏れしているのか、水っぽいおりものなのか迷う場合には、自分で簡単にできるタンポンテストがあります。
タンポンを数時間して除去したときに分泌物で湿っているのに、下着が汚れていなければおりものである可能性が高いです。
逆に、タンポンは比較的乾いているのに、下着やパンティーライナーが湿って汚れているようなら、尿漏れの可能性が高いといえるでしょう。
若くても尿もれは起こる?尿もれだった場合、尿もれの原因って一体何?
一般的に高齢者に起こるものだと思われがちな尿漏れですが、10代の方でも起こる事があります。例えば、激しい運動をした時などに軽く尿漏れすることはあります。
若年層でも尿漏れになる原因は、お腹に力が入る状況に生じる「腹圧性尿失禁」などが考えられます。
若い女性でも、ジャンプしたり動きが激しいスポーツをしたりすると、尿漏れすることがあります。
また、若い人だけではなく、あらゆる世代で尿漏れする原因には以下のことが考えられます。
太りすぎ
出産経験
不規則な生活
運動不足
便秘がち
ストレスが多い
生理前
咳やくしゃみ、大笑い
床の物を拾う
尿もれ対策のためにできるセルフケアとは?骨盤底筋のトレーニング方法もご紹介!
尿漏れを対策するためのセルフケアをご紹介します。
トイレに行く
軽い尿漏れの対策としては、スポーツの前や身体を動かす作業をする前にはトイレに行き、できるだけ膀胱を空にしておきましょう。しかし、その後のスポーツや仕事中の水分摂取は大切なので、こまめにタイミングをみながら、水分摂取をしてください。また、計画的に時間をみてトイレに行くことも重要です。
尿漏れ対策商品を使う
忙しくてトイレに行けない方は、安心のためにも尿漏れ用のパッドを装着しましょう。尿をある程度吸収してくれる下着も商品化されているので活用してみてはいかがでしょうか。
「尿漏れするかもしれない」という不安な気持ちを解消して、快適な日常生活を送りましょう。
生活習慣を見直す
その他にも、尿漏れを対策するためのセルフケアとして以下のような方法があります。
太り気味な方は体重をコントロールする
運動を習慣化して、睡眠や食事などの生活を整える
便秘を予防する
ストレスをためない
身体の冷えを避けて下腹部を温める
骨盤底筋を鍛える
尿漏れの予防や改善を目的とした「骨盤底筋訓練」も、自分でできる有効な対策です。
骨盤底筋や尿道を締める筋肉を鍛える「骨盤底筋訓練」をご紹介します。
自分で簡単に短時間で行えますので、尿漏れに悩む方はまずは3カ月を目安に、1日数回行って効果を実感しましょう。
寝ながらできる骨盤底筋トレーニング
1.仰向けで足を肩幅くらいに開き、両方の膝を立てリラックスします。
2.ゆっくりとお尻を上げ、肛門から尿道のあたりを引き締めるようにグッと力を入れて5秒数えます。(腰が痛い方はお尻を上げなくてもいいです)
3.ゆっくりとお尻を下げて力を抜きます。
※2~3を、1日3回繰り返す。
この運動は自然な呼吸で行い、息を止めないようにしましょう。
骨盤底筋に効かせるコツは、肛門から尿道の周辺だけを締めるように意識するのがポイントです。陰部の近くのインナーマッスルは、日常生活ではあまり意識しない筋肉です。イメージとしては、尿を途中で止めたり、排便の終了時に肛門を締めたりする感覚です。
注意点は、下腹部に力を入れないようにすることです。膀胱を圧迫する動きになるので、下腹部が柔らかいことを手のひらで確かめながら行うとよいでしょう。
この要領がつかめると、座った姿勢や立った姿勢で陰部周辺を引き締められるようになります。座ってテレビドラマを見ている時や、信号待ちで立っている時など、誰にも気づかれずに日常生活のスキマ時間で行えます。
尿漏れを改善させることを目指して、1日3~5回のペースで毎日やってみてください。3カ月後には改善が期待できます。
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尿漏れとは違う”水っぽいおりもの”は放置しても良い?
水っぽいおりものが多く出続ける場合は放置してはいけません。深刻な病気が隠れている場合があるためです。
周期的にみると、生理の後はおりものが水っぽい時期があるので問題はないかもしれません。しかし、いつまでも水っぽいおりものがたくさん出て、おかしいと感じる場合は病気が隠れているサインです。専門の医師である婦人科に診てもらう必要があるでしょう。
また、水っぽいおりものに血が混じっていたり、膿が混じっていたりするのは異常なので、医師に伝えましょう。
水っぽいおりもので考えられる原因は3つ
水っぽいおりものの量が多い場合、考えられるのは以下のとおりです。
子宮体ガン
卵管ガン
クラミジア感染
その他(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵管水腫、子宮腺筋症など)
それぞれの原因を詳しく解説します。
子宮体ガン
子宮体ガンは子宮の「体部」と呼ばれる部位から発生したガンです。
初期では水のようなおりものが出ます。また、生理の期間ではないタイミングの出血で気づくことができます。下腹部の痛みや排尿時の痛み、排尿困難などの症状が伴う場合があります。
治し方は、ガンの大きさや進行、広がり方、時期によりますが、手術や化学療法があります。
卵管ガン
卵管ガンは、卵巣と子宮の間をつなぐ細い管にできるガンです。
原因は、身体の別の場所でできたガンが、卵管にまで広がってきたことによるものが多いです。
症状は、水っぽいおりものが増える場合があり、お腹の不快感や痛みも伴います。
CT検査などをして卵管ガンと診断されると、手術後に化学療法がおこなわれます。
クラミジア感染
クラミジア感染(性器クラミジア感染症)は、性感染症(STD)です。女性に多い性感染症で、近年では中高生の感染者の数が増えています。
感染すると、尿道に炎症を生じますが、無症状のことも多いです。そのため、気づかない場合が多く、不妊症をきっかけに診断されることがあります。
性器クラミジア感染症は日本で最多の性感染症で、世界的にも多いです。わかっている感染者数だけをみても、日本では100万人を超えています。
原因はクラミジアという細菌に感染するためですが、セーフセックスで予防ができます。
感染すると1~3週間くらいの潜伏期間があり、子宮やお腹の中へと広がります。
症状は、さらさらした水っぽいおりものが増えます。しかし自覚症状がない場合も多く、卵管の障害や不妊症がきっかけで診断されることによって分かります。
検査は膣分泌液(おりもの)や血液検査を実施します。不妊症を調べるための卵管造影検査をすることもあります。
治し方は、抗生剤(抗菌薬)を服用、または点滴してもらいます。
女性だけではなく、ピンポン感染を防ぐためにもパートナーと一緒に治療することが大切です。
その他の原因
上記以外にも、水のようなおりものが増える原因の病気には、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、卵管水腫、子宮腺筋症などがあります。
水っぽいおりものが出続けて心配な方は、婦人科の医師に相談してください。
気になったら婦人科へ行こう!
尿漏れと水っぽいおりものについて詳しく解説しました。
なかなか人には相談しづらいデリケートゾーンの悩みのため、他人とは比べにくく、どんな状態が病気なのか、そうでないのか自分一人で悩んでしまうものです。
この記事でご紹介したような症状に当てはまる場合は、何歳の方でも婦人科を受診しましょう。専門の医師に相談するのが、あなたの悩みを解決する近道になるでしょう。特に、水っぽいおりものの量が多い場合は、深刻な病気が隠れているサインです。ためらわずに病院を受診することをおすすめします。
また、尿漏れと診断された場合でも軽症であれば日常の生活を改善したり、骨盤底筋訓練をしたりすることで予防できることがお分かりいただけたと思います。
尿漏れやおりものの心配があると、外出や旅行などのイベントが心から楽しめませんね。あなたが健康で幸せに過ごすためにも、婦人科の治療やセルフケアなどで対策して快適な生活を送ってください。