ジョギング中の尿漏れを改善する方法5選!今すぐできる対策も紹介

ジョギング中の尿漏れを改善する方法5選!今すぐできる対策も紹介

ジョギング中に尿漏れする原因

20代以上の女性の内、2人に1人以上が尿漏れを経験しているという調査結果が出ています。

女性に見られる尿漏れの場合、咳やくしゃみの他、笑ったはずみで、或いは何かを持ち上げるときに尿漏れが生じる、というケースが多いでしょう。このように、腹部内に圧力が加わる動作によって、尿が漏れてしまう状態のことを、「腹圧性尿失禁」といいます。

ジョギング中は、体幹の筋肉に自然と力が入ります。そこに体への振動や、通常とは異なる呼吸のリズムが加わることによって腹圧が高まり、尿漏れが起こります。

ジョギング中に起こる尿漏れは概ね「腹圧性尿失禁」と言えるでしょう。

尿漏れの原因である「腹圧性尿失禁」とは

尿漏れの原因である「腹圧性尿失禁」とは

「腹圧性尿失禁」は、骨盤底の緩みによって膀胱頸部(膀胱の出口部分)が、本来の正常な位置よりも低い位置に下がってしまうために起こる尿漏れです。

尿道や膀胱の位置が、骨盤内で不安定な状態になることで、尿道をしっかりと締めることができず、更に、尿道括約筋の締める力そのものが弱くなっていることなどから、腹圧がかかると、尿が簡単に漏れ出てしまいます。

腹圧性尿失禁の原因

尿漏れを引き起こす腹圧性尿失禁は、以下のような原因が考えられます。

妊娠・出産

妊娠、出産時に骨盤底筋群や靭帯、結合組織等がダメージ受けて弛緩するため、膀胱が正常な位置よりも下垂します。

出産直後に起こりやすく、また、過去に2回以上の出産経験がある方では、年齢とともに筋力が低下してきて、40代を過ぎてから尿漏れを生じるといったケースもあります。

更年期の変化に伴うエストロゲンの分泌低下

卵巣から分泌されるホルモンの内、エストロゲンというホルモンは、血管や筋肉を健康に保ち、肌のハリ艶を出すなど、女性らしい体をつくる役割を持っています。その他、骨を丈夫に保つ働きや、コレステロールのバランスを調整し、内臓脂肪を分解しやすくする働き等を担っています。

女性は40歳を過ぎると卵巣機能が徐々に衰えてきて、45歳頃ではエストロゲンの分泌が急激に低下し始めますが、これにより、更年期や閉経前後になると、尿道や膣、及びその周辺の筋肉組織、皮膚、粘膜等の弾力やハリがなくなってきます。

エストロゲンの低下によって、尿道やその周辺の筋肉組織、靭帯などが弱り、緩みが出てくると、膀胱頸部(膀胱の出口部分)が正常な位置よりも下がってしまい、「腹圧性尿失禁」を生じる状態となります。

体重増加

エストロゲンの働きによって脂質の代謝が良好に保たれています。しかし40代を過ぎると、エストロゲンの分泌が低下し、同じ生活習慣、食事量であるにも関わらず太りやすくなります。

体重の増加とともに、腹圧性尿失禁を生じるケースがあります。

便秘

便を出そうと強く力んでしまうと、腹腔内の圧が上昇して、骨盤底筋群や、膀胱・尿道周辺の靭帯に、下へ押し下げるような負荷がかかります。

便秘は、排便のたびに負荷をかけることになり、膀胱や尿道、子宮や膣を支えている筋肉や靭帯が更に緩んで、腹圧性尿失禁を引き起こしやすくなります。

過重労働や激しいトレーニング

重たいものを持ち上げるような、身体的負荷の大きい作業では、便秘の場合と同様に腹圧が高くなることによって、腹圧性尿失禁が起こります。また、激しい筋トレも同様に、尿漏れの原因となる場合があります。

例えば、ダンベルトレーニングや、マシーンを使ったトレーニングで、一瞬息を止めて踏ん張るような練習を、習慣化して行っていると、力を入れる際に毎回腹圧をかけていることになります。こ

のような腹圧のかかるトレーニングは、骨盤底筋群や周辺の靭帯が緩んでくる原因になることも考えられます。

スクワットなどの骨盤周辺を鍛える運動であっても、アウターマッスル(外側の筋肉)による運動だけでは、尿漏れ防止対策にはなりません。
尿漏れを改善するためには、骨盤底部を意識したトレーニングが必要となります。

ストレス

強いストレスは、女性ホルモンのバランスの乱れを引き起こし、尿道や膣、その周辺の筋肉や皮膚、粘膜力の緩みが生じやすくなります。

身体的過労によるストレスだけでなく、メンタル面でのストレスも同様に、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こしますので、注意が必要です。

また、トレーニングそのものがストレスとなることもあります。激し過ぎるトレーニングは、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンを上昇させると同時に、女性ホルモンのバランスの乱れや分泌低下を招き、骨盤内の筋肉組織の緩みを助長します。それだけではなく、自律神経の不調や、免疫力の低下にもつながります。

「ちょっときついな」と感じるくらい、或いはそれ以上のトレーニングした後は特に、しっかりと休息をとり、心身の回復に努めましょう。

手術

子宮摘出術等の大きな手術による影響で、骨盤底筋組織の緩みが起こり、腹圧性尿失禁の症状が出てくるといったケースもあります。

尿漏れを改善する方法

上記のように腹圧性尿失禁を引き起こしている原因は様々ですが、どの原因であっても、骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れの改善につながります。

骨盤底筋トレーニングとは

骨盤底筋トレーニングとは

骨盤底筋群は、内臓を支えている一番底の部分にあたります。

体の前側から見て順番に、膀胱、子宮、直腸と並ぶ臓器を下から支えていて、尿道、膣、肛門は、この骨盤底筋群の間を通るようにして存在します。

出産経験や加齢によって骨盤底筋が弱ってくると、膀胱、尿道、膣、子宮の他、直腸、小腸などの臓器まで、本来の位置より下がってしまいます。この状態を骨盤底障害と言い、腹圧性尿失禁以外にも、子宮や直腸が体の外へ飛び出してきてしまう「臓器脱(子宮脱・直腸脱)」を発症するリスクにもつながります。

骨盤底筋トレーニングを継続して行うことによって、尿漏れを改善することが期待でき、また、臓器脱を予防することにもつながります。

さらに、骨盤内の血行を良くするので、PMS(月経前症候群)の症状緩和や婦人科系疾患の予防にも役立ちます。

ただし、正しい方法で行わなければ逆効果となる場合もあります。例えば、腹筋を使う運動では腹圧がかかり、下垂した臓器をかえって下へ押し下げることになるため、腹圧をかけることなく骨盤底筋を働かせる運動が必要となります。

尿漏れを改善する骨盤底筋トレーニングのやり方

尿漏れを改善する骨盤底筋トレーニングのやり方について、写真や図を交えつつご紹介していきます。

(1)骨盤底部分にあるインナーマッスルを鍛える練習

①体育座りの姿勢で、両腕で軽く膝を抱える。
※左右の足は真ん中でつけて、膝を軽く開く。
※背中はほんのり丸く緩めて、腹筋に力が入らない状態にする。

尿漏れを改善する骨盤底筋トレーニングのやり方

②まず、深呼吸を2回行います。
③大きく一息吸った後、ゆっくりと息を吐きながら、骨盤底の肛門と膣を締めましょう。
ゆっくりとした呼吸を続けながら、締めた状態を5呼吸キープします。
④30秒経ったら締めていた感覚を緩めて、ゆっくり5呼吸します。
⑤①~④を5回、繰り返します。
※1日1~2回を目安に続けましょう。

(2)骨盤底筋が自然と働くポーズの練習

①仰向けに横になり、両膝を立てて、足をお尻の近くに置きます。両手は掌を下に向けて、腰の横におろします。
②ゆっくり息を吸い、その後の吐く息とともに、足と肩で床を押すようにして、腰を上げます。この時、足裏の土踏まず側が床から離れなように注意して、足裏全体で床を押しましょう。

③②の状態を30秒キープします。
①~③を、1日1~2回行います。
床から腰を持ち上げる高さはほんの少しでも、筋肉はちゃんと働いていますので、腰痛がある場合は低めの高さで行います。
ただし、練習の効果を得るために、出来れば30秒間キープを目指しましょう。余裕が出てきたら、ポーズをキープする時間を45秒~1分まで延ばしてみましょう。
30秒間キープすることが難しい場合は、辛くなった時点で一度床に腰を下ろして、体勢を整え直してから残りの秒数分を行いましょう。

(3)片足ガス抜きのポーズと仰向けねじりのポーズ

排泄の働きを高めるガス抜きのポーズと腸の捻じれを改善する仰向けねじりのポーズ。便秘の解消や内臓下垂の改善にも良いポーズです。

①仰向けに横になります。
②両腕で右足を持ち、右膝を胸に近づけます。(片足ガス抜きのポーズ)

片足ガス抜きのポーズ

③右手を床に置いて、右ひざを左に倒します。(仰向けねじりのポーズ)

仰向けねじりのポーズ

右ひざは左の床におろして、右手は背中側の床か、右腰のあたりに楽に下ろします。
時間が許せば1ポーズ30秒くらいを目安に、①~③をゆっくりと行い、左側も同様に行います。ゆったりとした呼吸で、緊張のない状態でリラックスしながら行いましょう。

尿漏れを改善する食生活や生活習慣の改善

急に太ってしまったのと同時に、尿失禁の症状がみられるようになった方の場合は、体重を落とすことで、症状の改善がみられます。

40代以降は、ホルモンバランスの変化により、どうしても太りやすくなり、これまで通りではうまくいかないことを実感する時期でもあります。今現在の食事の量や質、生活リズムなど、改めて見直してみましょう。

内服治療

膀胱の筋肉を緩めるのと同時に、尿道の括約筋を締める作用のあるお薬(β2アドレナリン受容体刺激薬の塩酸クレンブテロール商品名スピロペンント)が「腹圧性尿失禁」の治療薬として用いられます。

但し、尿失禁のタイプには、腹圧性以外にも、「過活動膀胱」とも呼ばれる「切迫性尿失禁」や、膀胱炎が原因となっている尿失禁などもあります。処方されるお薬は、どのタイプの尿漏れかにより異なりますので、症状に応じた医師の判断が必要です。

電気治療

「干渉低周波」という電気を使う治療方法があります。

骨盤底筋や膀胱・尿道の筋肉や神経に電気刺激を与えることで、尿失禁の改善を期待する治療で、70%ほどの人に改善がみられるようです。

治療時間は1回約20分、2回/週から1回/週の通院加療となり、保険適応の治療です。治療を希望する場合、専用の医療機器を使用するため、専門の医療機関へ、事前に干渉低周波による治療が可能か問い合わせておくと良いでしょう。

手術

尿漏れは、その原因によってタイプが分かれますが、「腹圧性尿失禁」の場合のみ手術による治療が可能です。

ぐらついた状態の尿道の下にメッシュのテープを通し、過剰な動きを抑えることにより尿漏れを防ぐ手術(「TVT手術」または「TOT手術」)を行います。

2泊3日の入院で治療でき、比較的体への負担が少ないことや、手術の成功率も90%以上と高いため、「しっかり治したい」という希望であれば医師からも勧められるようです。

今すぐできるジョギング中の尿漏れ対策

すぐにジョギング中の尿漏れを改善したいところですが、骨盤底筋訓練の効果が現れるまでには、ある程度時間が必要になりますので、今すぐにできる対策をお伝えします。

尿漏れシートや吸水ショーツの活用

尿漏れシートは生理用ナプキンに比べ吸水力に優れており、少量タイプなら15~20cc、中等量タイプなら30~50cc程度と余裕があります。

敏感肌で、シートによるかぶれが心配な場合には、敏感肌仕様の製品を選ぶか、最近では布製の尿漏れシートや、吸水部分を含めて洗濯可能な一見普通の下着に見える、ショーツタイプのものも販売されているようです。
ジョギング中は、走っている時の運動刺激が尿漏れを誘発しますので、ある程度の給水量の余裕のある、尿漏れシートや吸水ショーツを使用します。

自宅にいる日中など、すぐにトイレが利用できる環境では、布製の吸水シートを使用してみるなど、TPOで使い分けたり、骨盤底筋トレーニングや水分管理を続けながら、体の変化を見ていきましょう。

ジョギング中の刺激でシートが擦れてしまい、かぶれが出てしまった場合、シートの材質が皮膚に合っていないことが考えられますので、なるべく低刺激の別の製品を選びましょう。皮膚の一部分だけがかぶれている場合は、シートが皴になっているか、下着の一部分が皮膚に強く接触していることが考えられます。

刺激を避けるために、皴ができないシートの貼り方を工夫したり、ジョギング時のショーツは、締め付けすぎないものを選びましょう。

保護テープやワセリンを使用(かぶれ対策)

皮膚が擦れてしまう部分シート側に、肌への刺激の少ない保護テープを貼っておく方法や、皮膚保護効果の高いワセリンを、事前に塗っておくのも良いでしょう。

かぶれが残る場合、市販のかぶれ治療薬が効くこともありますが、皮膚トラブルから膀胱炎などの感染症を引き起こすケースもあります。症状が長く続いたり、悪化するようなときには医師へ相談するのが良いでしょう。

利尿作用のある飲み物を控える

カフェインやアルコールなど、利尿作用のある飲み物を控えましょう。

普段コーヒーや、お茶、お酒などを摂取されている場合は、ジョギングを行う日の少なくとも前日から、それらの飲み物を避けます。ジョギングが終わった後の、自分へのご褒美として楽しめると、ジョギング中のモチベーションにもつながるかもしれませんね。

水分量の管理

普段どのくらい水分を摂っているのか、正確には把握していない方も少なくありません。

成人における必要な一日の水分摂取量は、健常者であれば春・秋で、1日1.5L、夏は2L、冬は1Lです。まず、1日の水分摂取量が実際にはどのくらいなのか、

一度現状を確認した上で、適量を摂取するよう心がけましょう。

1日の中で、トイレに行く(トイレに行くことが可能な)時間帯の1~2時間前に水分を摂る、或いは、水分摂取後1~2時間で必ず排尿を済ませるなど、習慣化していくことでも尿漏れの改善が期待できます。

ジョギングを行う日は、ジョギングの所要時間や、走る直前で排尿を済ませることを前提に考慮して、事前に水分を摂るタイミングと、ジョギング後の補水量やタイミングを決めてみます。
尿漏れが心配だからとは言え、脱水には十分注意しましょう。

改善が難しければ、専門医へ相談

尿漏れが改善しない、或いは今の生活に支障をきたしていると感じる場合には、専門医へ一度相談しておくと良いでしょう。

尿漏れは、女性特有のホルモンバランスの変化によって生じる症状の一つです。年齢だけでなく、出産経験や生活習慣、ストレスなどによっても影響を受けています。よくわからないまま、一人で悩み続けているとしたら、専門医の意見を聞き、色々な選択肢があることを理解することで、安心の材料になります。

ジョギングが、美しく、健康であることを維持するための方法であるのと同時に、今の自分の体の状態を再確認する、良いきっかけになっていると受け止めてみてください。女性として生き生きと年齢を重ねていく上で、今何ができるか、これからどんな風に楽しめるか、前向きに捉えてみましょう。

nana
小田 祥子
マインドフルネストレーナー ヨガインストラクター