毎月、みぞおちや胃が痛くなるし、気持ち悪くなることもある…。けれど、しばらくすると治るからと、ついそのままにしていませんか。
その辛い症状、実はPMS(月経前症候群)の症状の一つかもしれません。
この記事では、PMSやみぞおち・胃の痛みや吐き気が生理前に起こる原因を解説します。また、自分でできる対処法についてもご紹介していきます。
生理前に起こる症状の種類とは?PMSについても解説!
女性の体内では常にホルモンバランスの変化が生じるため、特に生理前は心身の変化が起こりやすいです。毎月不調が出て辛いと感じている方もいるのではないでしょうか。
排卵日から生理中にかけて、心身に不快な症状が出ることをPMS(月経前症候群)と呼びます。
PMSでは、次の症状で悩む方が多いと言われています。
<PMSの主な症状>
- 精神的症状(イライラ感・不安感・倦怠感など)
- 食行動変化(甘いものが食べたくなる・食欲増進など)
- 睡眠障害
- 体重増加・むくみ
- 肩こり・腰痛
- 頭痛
- 便秘
- お腹の張りや痛み
PMSが起こるのは、体の中で起こる女性ホルモン・セロトニン・プロスタグランジンのバランスの変化や、食事・ライフスタイルが原因と言われていますが、明確なことはまだわかっていません。
生理前では腰や下腹部で痛みが出やすいのですが、腹部の上方にあるみぞおちや胃に痛みを感じたり、吐き気がしたりする方もいます。腰や下腹部は子宮近くにあるため、症状が出るのはわかりやすいですが、なぜみぞおちや胃に症状が出るのでしょうか。
生理前の吐き気やみぞおち・胃が痛む原因は?ホルモンバランスが関係しているの?
生理前の不快な症状であるPMSは、どのようにして起こるのか、女性の体に起こる変化を見ながら確認してみましょう。
生理前は様々なホルモンのバランスが変化
女性の体では、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が周期的に変化します。
排卵日付近ではエストロゲンの量がピークに、そして排卵を終えるとプロゲステロンの量がピークを迎えます。その後、エストロゲンとプロゲステロンの量が急激に減ることによって、セロトニンのような脳内ホルモンなどのバランスに異常が起きるのです。
また生理が近づくと、妊娠するために準備していた子宮内膜が不要となり、体の外へ出そうとするため、プロスタグランジンという神経伝達物質が増えていきます。
生理前の吐き気やみぞおち・胃が痛む原因
生理前に増えるプロスタグランジンは、全身に作用する神経伝達物質で、子宮内膜を体の外へ出すために子宮を収縮させて生理を起こすだけでなく、炎症を起こしたり全身の筋肉を収縮させたりします。
つまり、PMSの頭痛を引き起こしたり、胃が収縮して胃やみぞおちあたりの痛みや吐き気を引き起こしたりするのも、プロスタグランジンの影響です。
また生理前に便秘になる方は、お腹が張ってしまうことでみぞおちに違和感や痛みが出る場合もあります。
生理前に関係無くみぞおちや胃に不調が出る原因
生理前のみぞおち・胃の不調は、PMSが原因の可能性が高いです。しかし、生理が終わっても不調が続く場合は、胃炎や逆流性食道炎、便秘などPMSではなく胃腸のトラブルが原因とも考えられるので、早めに医師に相談してみましょう。また、妊娠初期にも同じような症状が出ることがあるので、妊娠する可能性がある方は注意が必要です。
自分の症状がPMSなのか、自分で判断するのは難しいかもしれません。そんな方は、毎朝の基礎体温とその日の健康状態を記録するのがおすすめです。医師に症状の相談をする時もその記録を見せましょう。
普段からストレスや疲れを感じやすい方はPMSや生理不順、胃腸のトラブルが出やすいので、これからご紹介する対処法をぜひ試してください。
生理前のみぞおちの痛みを和らげる方法とは?一時的な対処法を紹介
ここでは、みぞおちや胃の痛みを和らげる対処法をご紹介します。
温かく消化の良い食事
みぞおちや胃の痛みがある時は、胃をあまり動かさなくてよいように消化の良い食事を摂りましょう。おかゆや柔らかいうどん、豆腐・白身魚・卵などを使った温かい料理がおすすめです。また、飲み物はノンカフェインの温かい麦茶やルイボスティー、白湯を飲みましょう。
一方で香辛料などの刺激物や、揚げ物・食物繊維たっぷりの食品は、胃に負担をかけて症状を余計悪くする恐れがあります。
リラックス&ツボ押し
ストレスは胃の痛みやPMSを悪化させると言われています。普段から意識的に疲れやストレスのケアをしていきましょう。
また、急な不調にはツボ押しもおすすめです。胃の痛みには梁丘(りょうきゅう)、吐き気には内関(ないかん)を刺激してみてください。
- 梁丘(りょうきゅう)
ひざのお皿から親指2本分上(太ももの骨の外側)にあるツボで急な胃痛・腹痛を和らげます。 - 内関(ないかん)
手首から親指2本分下にあるツボで吐き気を和らげます。少し強い力で押しましょう。
ツボ押しもなるべくリラックスできる環境でおこなってくださいね。
医薬品を使うのもひとつの手
辛い症状は我慢する必要はありません。ドラッグストアで購入できる医薬品をご紹介しますので、試してみてくださいね。
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
速効性があり、急な腹痛や生理痛に使われます。筋肉のけいれんを抑える効果があります。 - 五苓散(ごれいさん)
胃腸の不調・吐き気・頭痛・むくみなどに使われます。 - プレフェミン
PMSの様々な症状に効果があります。イライラ感などの精神的症状がある方にもおすすめです。
アレルギーのある方や、服用中の薬がある方は医師や薬剤師に相談のうえで購入してください。
また、ご紹介した医薬品の効果は一時的であるため、症状を何度も繰り返す場合は、早めに病院を受診しましょう。
避けてほしいもの
以下は、胃の不調とPMSを悪化させる可能性があるので、なるべく減らすようにしましょう。
- コーヒー・アルコール・香辛料などの刺激物
- ナッツ・揚げ物などの脂肪分が多い食品
- 生野菜や果物などの体を冷やし、消化に時間のかかる食品
- たばこ
- 肉体的・精神的ストレス
特に、ストレスは胃腸の動きを乱すだけではなく、ホルモンバランスを乱してPMSの症状を悪化させると言われています。症状がある時だけではなく、普段からストレスを残さないよう生活していきましょう。
生理前の胃痛は病気?症状が重い場合は要注意
生理前の胃痛や吐き気は病気ではありませんが、耐えられないほどの痛みや、生理の周期に関係なく症状が続く場合は注意してください。
みぞおち・胃の痛みや吐き気以外に、便の色がいつもと違う・吐血がある場合は、胃潰瘍や胃がんのような深刻な病気がかくれている場合もあります。
また、そのような症状がずっと続いた場合、PMSが原因だったとしても胃炎などの病気につながることがあるので、早めに病院へ受診しましょう。
生理前のみぞおちの痛みや生理痛に関する相談先
生理前の不調は放っておかず、早い段階で診察してもらいましょう。
みぞおちの痛みや吐き気の不調があり、他のPMS症状もある場合は婦人科・産婦人科へ、PMSかどうかわからない場合や胃腸の悩みを直接治したい場合は内科・消化器内科へ受診することをおすすめします。
症状が軽い場合は本記事でご紹介した方法をまず試してみてみましょう。それでも症状が重い場合や長引く場合はなるべく早く医師に相談してみてください。
そもそもホルモンとはなんでしょう?
皆さんがよく耳にする「ホルモン」は、脳などの指令を受けて分泌され、血液によって全身に運ばれる化学物質のことです。
人間の健康維持のために必要な様々な機能を調節する働きがあります。
また、これらはごく微量でも効果を発揮することができます。例えばスプーン1杯の「ホルモン」を、水がいっぱいにはった50mプールの中でかき混ぜても効果があると言われるほどです。
皆さんがよく耳にする身近なホルモンの一つであるインスリンは、血糖値を下げる働きがあり膵臓から分泌されます。また、交感神経が高まると分泌されるアドレナリンもホルモンの一つです。
他には脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副じん、すい臓、生殖腺など、私たちの体内のあちこちで違ったホルモンが100種類以上分泌されています。
私たちの体内バランスは、ホルモンが必要な時期に必要な量が作られることにより、保たれます。また分泌量が多すぎても、少なすぎても良くないため、絶妙なバランスが重要となっています。
そのため更年期に感じる不快な症状は、閉経前後に卵巣の機能が急に低下し、女性ホルモンの分泌が少なくなりホルモンの分泌量のバランスが崩れることが主な原因であることが多いです。
実はホルモンには2種類あります!女性ホルモンの役割
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる2つのホルモンがあり、両方とも脳の視床下部から指令を受けることで卵巣から分泌されます。
月経や排卵のみならず基礎体温もこの2種類のホルモンにコントロールされています。
エストロゲンとプロゲステロンのそれぞれ働きとは?
エストロゲンとプロゲステロンは、それぞれ全く違う働きをしています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の働き
受精卵を迎える為に子宮内膜を厚くする
子宮筋の肥大化及びオキシトシンに対する反応を高める
頸管粘液の分泌を高める
髪の毛や肌を艶やかに保つ
前向きな気分の源と呼ばれる情報伝達物質「セロトニン」の生成に影響を及ぼす
プロゲステロン(黄体ホルモン)の働き
受精卵が育ちやすいように子宮内膜を柔らかく整える
乳腺分泌腺の働きを促す
基礎体温を上昇させる
食欲を増進させる
女性ホルモンの分泌量で変化する病気のリスク
女性はライフステージによってエストロゲンの分泌量が大きく変化します。ライフステージ別の身体変化及び性周期の特長をご紹介します。
1.思春期(10歳 ~ 18歳)
初潮を経験し、性成熟期に向かってエストロゲンの分泌が盛んになります。これとともに、第二次性徴(性的に成熟する過程で男女の形態の差が生じる、乳房の発達、陰毛が生えてくる、初潮など)が現れ、初潮を迎えます。しかし初潮がきても、排卵周期が安定していないため、不正性器出血があります。この時期にみられる病的症状として、※原発性月経困難症があげられます。主な特徴は、月経の初日や2日目に症状が強く、陣痛のような強い痛みが伴います。
ひどい人は、卒倒してしまう人がいるほどです。
※原発性月経困難症とは、機能性、本態性、あるいは内因性月経困難症とも呼ばれています。器質的疾患(子宮内膜症や子宮筋腫など)によらないもので、思春期や10代後半、20代前半に多く見られます。初経後まもなくは無排卵のことが多いため、月経困難症は認められないことが多いです。経血を排出するための子宮平滑筋過攣縮による疼痛と言われています。
2.性成熟期(18歳頃~40代前半)
排卵周期が確立され、正常な月経周期になります。排卵を中心に規則正しい周期で月経が繰り返されます。卵巣からエストロゲンおよびプロゲステロンが周期的に分泌されます。この時期に妊娠・分娩・授乳などによる特異的な内分泌環境が形成されます。
性周期に伴う病気は以下が挙げられます。
月経前の様々な不調(PMS・PMDD)
PMSは、月経前症候群とも呼ばれます。
月経周期の黄体期に繰り返し出現し、身体的、精神的、あるいは行動的症候により、対人関係や日常生活が障害されるものと定義されています。PMDDとは、PMSと比較してより重度の精神症状が現れます。性成熟期に多いと考えられています。
黄体期になると様々な精神症状や身体症状が出現することから、内分泌環境の変化と考えられていますが、エストロゲン、プロゲステロンの血中濃度は正常なことが多く、未だに詳しいことはわかっていません。
集中力・作業効率の低下によって、「いつもの仕事ができなくなる」「誰とも会いたくない、話したくないと感じる」など、本人の社会的な行動にも影響を与えます。そのため、月経を経験する女性の「QOL(Quality of Life:生活の質)」に大きく関わる問題ですが、疾患としての認知度はまだ十分とはいえない状況です。
月経困難症
思春期と同様に、月経による病的症状として月経困難症があげられます。
症状の感じ方は人それぞれで、実際に症状が出ていても実感がない人もいます。その為、同じ職場でも同性の視線が気になって痛みを我慢して出勤する女性が多く見られます。「もうすぐ月経がはじまるんだ」「今月も卵巣が元気に働いている」と楽観的に捉える思考が大切です。
月経困難症は病気が原因となって引き起こされている、器質性月経困難症である可能性があります。主な特徴としては月経の4~5日前から月経後まで痛みが続きます。不快な症状が日常生活に悪影響を及ぼしている場合は、一人で我慢せず婦人科受診をお勧めします。
子宮内膜症
月経があることで生じる病的症状として、子宮内膜症もあげられます。
本来ならば子宮の内側にある子宮内膜組織が、子宮の内側以外の場所(腹膜や卵巣など)で発症し、増殖する病気です。
放っておくと炎症や周辺組織との癒着を引き起こし、様々な痛みの症状が現れます。3.更年期(40代半ば~50代半ば)
卵巣機能が衰退、消失へと向かいます。排卵周期が損なわれ、エストロゲンの産生・分泌が次第に減少していきます。最終的には卵巣機能が停止し、閉経に至ります。卵巣機能の衰退により、子宮内膜の不規則な働きにより不正出血を繰り返す、「更年期出血」が起こります。
卵巣機能の低下で女性ホルモンの分泌量が減少すると、脳の視床下部がパニックを引き起こし、全身のあらゆる箇所で不調が起こります。この更年期の不調を更年期症状といいます。この時期に見られる身体症状・精神症状は他の項で詳しく説明しています。
更年期症状はエストロゲンの減少だけでなく、仕事や家庭環境の変化に伴うストレスやご自身の性格などが複雑に関与するため個人差が見られます。
女性ホルモンと生理周期との深い関係性について
1ヶ月の間に、エストロゲンとプロゲステロンは排卵を機におよそ25〜28日周期で分泌されることで、妊娠の準備とリセットを繰り返します。これが生理と呼ばれる現象です。
分泌される女性ホルモンの種類や活動によって、生理周期は大きく以下の4つに分けることができます。
月経期(生理開始初日から約5日)
排卵後2週間経過しても妊娠が成立しないと、エストロゲンとプロゲステロンが退縮し、ホルモンの分泌が止まります。
その結果、厚くなった子宮内膜は剥がれて対外に血液と共に排出されます。これが月経です。月経が始まると、また新しい卵子が選ばれ、次の排卵に向けての準備が始まります。
正常な出血日数は3〜7日と言われています。
卵胞期(生理開始約6日から約12日)
卵巣からその月の卵子が選ばれ、卵子の周囲に卵胞という袋ができます。
そして卵胞からエストロゲンが分泌され、受精卵を迎える為に子宮内膜を厚くすることで、排卵と受精に備えます。
1ヶ月の中で心と体のバランスがよく、肌の調子もよく最も好調な期間と言われることがあります。
排卵期(生理開始約13日から約16日)
卵胞が成熟しエストロゲンの分泌量と子宮内膜の厚さが十分になると、脳からの指令によって卵胞が破裂します。
卵巣から飛び出した卵子は、卵管采に吸い上げられます。
精子と出会い受精すると子宮内に移動し、精子が子宮内膜に着床すれば妊娠が成立します。
受精しない場合、卵子はそのまま消えてしまいます。
黄体期(生理開始約17日から次の月経開始日まで)
排卵後の卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンが分泌されることで子宮内膜が厚くなり、妊娠への準備に入ります。
プロゲステロンは脳の体温中枢に作用を及ぼすため、基礎体温を上げる働きがあります。
このため、排卵後は体温が約0.3〜0.6℃程度上昇します。
また黄体期は、イライラしたり身体がむくんだり、眠れなかったり、頭痛や腹痛を感じたりすることがあります。
女性ホルモンの嬉しい働きとは?
エストロゲンは血液を介して、乳腺や子宮内膜などのエストロゲン標的臓器に運ばれて作用を発揮します。これを内分泌作用といいます。
この他にも脂質代謝(肝臓での※TG合成)、骨作用(骨量の増加・骨端の閉鎖)・心血管作用(抗動脈硬化)や脳神経作用(認知性の向上)の代謝ホルモンとして広範囲に渡って生理作用を促します。
エストロゲンが私たちにもたらす影響は以下の通りです。
● 女性らしい身体を作る基礎体温を下げる
● 自律神経を整える
● 骨密度を高め骨を丈夫にする
● コレステロールを正常化させる
● 動脈硬化を抑制する
※TG合成:タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解されます。このアミノ酸がグルコース(糖質)となり、肝臓で中性脂肪となります。アミノ酸は、筋肉、骨、髪、臓器など体を作ることに使われます。
体中の脂肪細胞に蓄積された中性脂肪は、エネルギーとして使われる時を待ちます。しかし簡単に食べ物が手に入り、エネルギー源が過剰になった今の時代は、このシステムが逆に生命を脅かすことになってしまったのです。
中性脂肪は体に欠かせないものですが、現代の食生活では過剰になりすぎ、脂肪肝やメタボリックシンドロームの原因となります。
女性ホルモンが乱れる理由
生理が遅れたり、生理前の不調や気分の浮き沈みなどは、女性ホルモンの乱れが原因になることがあります。
女性ホルモンの乱れは、ストレスや生活習慣が大きく関わっているので適切なケアが大切になってきます。
<女性ホルモンが乱れる原因>
•過度なストレスを感じる仕事環境
•高カロリー高タンパクの食事
•化学物質や薬の乱用
•大気汚染
•喫煙・過度な飲酒
•生活習慣の乱れ
ストレスは、脳の中にある大脳辺縁系の扁桃体という部分で感じます。同様に女性ホルモンの分泌をコントロールする視床下部も、脳の大脳辺縁系の支配下にあります。よって大脳辺縁系がストレスを感じると、それが視床下部に伝わり、ホルモンの分泌にも大きく影響を与えます。
これらストレスの影響でホルモンの分泌量に変化が起こると、ホルモンバランスを崩しやすくなり、心と体の不調を感じやすくなります。
また栄養不足や睡眠不足は、妊娠に相応しい体ではないと脳が察知し、エストロゲンの分泌を抑えることがあります。
女性ホルモンの減少と更年期は関係ある?
加齢に伴いエストロゲンは減少する傾向にあります。一般的に、20代後半にエストロゲン分泌量は約200〜300pg/ml(1兆分の1g)となり、ピーク時を迎えます。35歳を過ぎる頃から少しずつ卵巣の機能が衰え、女性ホルモンの分泌量も減少してきます。
閉経を迎える頃には急激なホルモン分泌の低下により、心と体の不調を感じるようになります。
閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を「更年期」といいます。
更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と言います。
※閉経とは
卵巣の活動性が次第に消失し月経が来ない状態が12か月以上続くといった現象が起こり、月経が永久に終了した状態をいいます。
日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。
更年期症状とその要因
更年期症状として、以下のような症状が全身に現れます。
全身に現れる更年期症状
脳・中枢神経系→物忘れ・うつ
循環器(心臓血管系)→心血管疾患のリスク増加
血管壁→動脈硬化・心臓病
脂質代謝→コレステロール・中性脂肪の増加
乳房→萎縮
皮膚→萎縮・色素沈着
骨→骨量低下・骨折を招く背骨のまがり・骨折しやすくなる・顔のたるみ
生殖期→性器の萎縮・性交痛・排尿障害・子宮脱
更年期症状の発現に関与する様々な因子
加齢やエストロゲンの欠乏といった身体的因子
仕事や家庭環境などに起因する社会的因子
性格などに由来する心理的因子
※公益社団法人 日本産科婦人科学会参照
更年期の女性の心身の変化と生活への影響
40歳を過ぎたころから、エストロゲンの分泌量は急激に低下し、それに伴って更年期症状が起こり始めます。自律神経失調を中心とした不定愁訴が多くみられます。
閉経を迎えることで、大きな喪失体験を経験する女性は少なくありません。
更年期の女性は、閉経を老化現象と感じ、若くない自分を認めざるを得ない心理状態に置かれることがあります。
また、更年期の症状と同時に子どもの成長と独立、夫の定年、親の加齢による病気や死、仕事場での責任の増加などの変化に直面することで不安を抱えてしまう女性は多いです。
この負担はとても大きく、アンケートよると2人に1人が更年期症状を理由に「昇進を辞退したことがある」という結果が報告されているほどです。※https://hgpi.org/wp-content/uploads/1b0a5e05061baa3441756a25b2a4786c.pdf
若くても更年期に似た症状が出る?若い世代の更年期様症状
20〜30代の女性の中でも、手足の冷えや、頭痛、肩こり、不眠など、更年期と似た症状に悩んでいる方がいます。
その多くは、無理なダイエットや不規則な生活、働きすぎ、複雑な人間関係のストレスなどによる自律神経の乱れによって引き起こされています。ストレスによる自律神経の乱れは、一時的にホルモンバランスを崩します。
他にも、バセドウ病や橋本病など甲状腺の病気を発症している場合も、更年期障害と似た症状が起こります。
更年期症状をセルフチェックしてみよう!
自分で更年期症状が出ているのか、また治療が必要かどうかをチェックすることができます。
これはNPO法人更年期と加齢のヘルスケア理事長の小山医師が作成された「簡略更年期指数(Simplified Menopausal Index: SMI)」では、人によって異なる感じ方や症状の更年期症状を数字で表し、診察や治療に結びつけるチェック表です。
SMIを用いたチェックの仕方をご紹介します。
更年期症状のチェック方法
ご自身の当てはまる症状と程度に印をつけて、合計点を計算してください。
そして、その点数に対する評価をチェックしてください。
病院で行う更年期症状の治療方法
更年期症状の治療を希望される方には、以下のような選択肢があります。
1.カウンセリングを伴う心理療法
2.食事療法
3.運動療法
4.薬物療法
a・ホルモン療法
b・漢方療法
c・抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬など
更年期世代の女性が訴える不定愁訴は内容が様々で、いつも同じ症状ではないため頻繁なチェックアップが必要です。
セルフでできる女性ホルモンを維持・増やす方法!
そもそも、エストロゲンを増やすことはできるのでしょうか?
残念ながらエストロゲンの分泌量は年齢とともに減少します。
しかし、更年期症状を正しく理解し、正解な情報を入手して正しい判断基準を身につけることで、心理的な不安を取り除くことはできます。
また、更年期症状は、ストレスや生活習慣に要因があるため、生活習慣を改善する事で、ホルモンの減少を穏やかにすることができます。
女性ホルモンの減少を穏やかにする生活習慣
1.喫煙・飲酒習慣の改善
2.規則正しい食習慣と栄養管理
3.定期的な運動
4.毎日の睡眠環境を整える
5.自分なりのストレス解消法を見つける
例:アロマセラピーやヨガやピラティスなど呼吸を意識して自律神経のバランスを整える
上記のような生活習慣の改善だけでなく「自分だけが更年期症状で悩んでいる」というようなネガティブな感情を取り除くため、セラピーセッションなど安心できるコミュニティに参加することもよいでしょう。
更年期世代は生活習慣にも注意すべき年齢に差し掛かります。更年期はあなた自身の身体のメンテナンス期間とポジティブに考えるようにしましょう。更年期は女性なら誰もが通る道です。
恋すると女性ホルモンが増えるって本当?
淡い恋ごころから激しい恋ごころでも、女性は相手への思いがあって行動をおこすと言われています。
これは高齢者においても言えることです。好きな相手ができれば化粧をしたり、おしゃれをし、活動への意欲が高まります。
薬剤師の筆者は、日頃出入りしている高齢者施設の職員の方からこのような話を伺うと「女性はいくつになっても可愛いね」と微笑ましく感じます。
「恋をするとエストロゲンの分泌が高まり綺麗になるんでしょ」と講演会で質問を受けますが、残念ながら筆者はそれを示すデータを探せていないので、「はい」とも「いいえ」ともお答えできません。
しかし、恋をすることで、前向きな姿勢を持ち、活動的になることは、先ほどの高齢者の方から生きていく上で大切なことだと教えられました。
また毎日鏡を見ることで自分の小さな変化に気がつくこともあるでしょう。
一方で恋をすると、それが叶わないことや突然の別れも訪れます。一転して心身の不調を招く恐れもあります。
パートナーがいれば、互いに思いやり、会話のある、触れ合える関係を維持し、パートナーがいなければ、心ときめかす「感動のある生活」を維持できるように意識してすごすことが、大切ではないでしょうか。
更年期は女性なら誰もが通る道です。身体的にも精神的にも、さらに家庭や仕事など変化を感じる時期だからこそ、女性ホルモンについて正しく理解し、準備をして自分でケアをしていくことが重要です。
まだ更年期前の女性は、これらの情報を知っておくことで、今後どのような人生設計を描いていくかにとても役に立ちます。健康に美しく生きていくために、是非、女性ホルモンを味方につけてください。
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そもそも更年期とは
そもそも、「更年期」とは何なのでしょうか?
月経が始まる頃を「思春期」と呼ぶのに対して、閉経を迎える前後5年、合計約10年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は個人差があり、また更年期の症状も人によってさまざまなのですが、よく見られる症状として下記のものがあります。
・倦怠感や疲れやすさ
・頭痛や腰痛、肩こり
・めまいやのぼせ、ホットフラッシュ、過度な発汗
・イライラや不安、憂鬱
・不眠
など
更年期には卵巣の機能が低下し、卵胞の数が減少します。
一般的には、排卵が無くなることで女性ホルモンが減少し更年期症状が起こると考えられています。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、更年期症状には特にこのエストロゲンの減少が大きく影響していると言われています。
エストロゲンは、骨を強くしたり、コレステロールの生合成や血管収縮に関わったりと様々な働きがあり、そのエストロゲンが減少することが、更年期の女性の心身に変化をもたらしていると言われています。
キレイになるって本当?女性ホルモンの働き
女性ホルモンには、先ほどお伝えしたエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。エストロゲンには、先に挙げた作用の他にも、次のような作用があります。
・受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くする
・精子が子宮に入りやすいように子宮頚管粘液の分泌を促す
・妊娠を維持させるために子宮への血流量を増やしたり、乳管を発達させて母乳を作る準備をする
・基礎体温を下げる
・代謝を促す
・皮下脂肪の生成を抑える
・コラーゲンやヒアルロン酸などの生成を促し、肌や髪を艶やかにする
・気持ちを明るくする
・記憶力を高める
など
その他、妊娠出産に関わる働き以外にも400以上もの様々な働きがあるとされています。
エストロゲンは、男性を惹きつけ子どもを授かるために、女性を魅力的にする作用があるのです。それが、エストロゲンが美しくなるホルモンとして、多くの女性から歓迎される由縁でしょう。
それに対して、プロゲステロンには主に次のような作用があります。
・受精卵の着床に備えて子宮内膜の表面を整える
・妊娠のための栄養や水分を蓄える
・体温を上げる
・食欲を増す
・乳腺を発達させる
・血糖値を正常化する
・眠くなる
・イライラする
など
プロゲステロンは、妊娠を助け、継続すると同時に、眠気やイライラ、むくみ、肌のトラブルなどを引き起こすため、敬遠されがちです。ですが、エストロゲンが増えすぎることで起こるリスクを抑えるという、とても大事な役割もあります。
このように、女性の健康を保つために、どちらのホルモンにも偏ることなく、周期的にバランスよく分泌されることが重要なのです。 毎月の生理が維持されている間は、これらのホルモンが絶妙なバランスを保ち、女性ホルモンは分泌されています。
ときめきによって、女性ホルモンは増えるのか
突然ですが、あなたは最近ときめいていますか?
「今さら、主人にはときめかないし」
「最近、すっかりご無沙汰で」
という声も、ちらほらと聞こえてきそうですが。
実は、ときめくことと女性ホルモンには大きく関連があるのです。
人によって、ときめくものは様々でしょうが、誰でもすぐに思い浮かぶのが恋をすることでしょう。実際に恋をして、肌艶が良くなったり、女性らしいくびれを帯びた身体になったり、気分が上向いたりといった体験をされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それは、相手から好かれるためにメイクを研究したり、ダイエットをしたり、服装や髪型に気を配ったこともあるかもしれません。しかし、女性が恋をすることで、オキシトシンやゴナドトロピンなどのホルモンの量が増え、テストステロンが少なくなることが、様々な研究から明らかになっています。
ゴナドトロピンは、性腺刺激ホルモンと呼ばれ、女性ホルモンの分泌を促します。ですので、恋をしてときめくことで、結果的に女性ホルモンの量が増えると言えるでしょう。
また、性行為を頻繁に行っている女性は、そうでない女性に比べて女性ホルモンの濃度が高いことも報告されています。
ときめきを自分で作る5つの工夫
結婚をされていたり、出会いがなかったり、皆さんがすぐに恋愛ができる状況ではないかもしれません。実際に、更年期の女性は、子育て、介護、仕事と家庭の両立など、とても忙しく、恋愛する心の余裕が持てないことが多いものです。そこで、そのような方にも気軽にできる方法をいくつかお伝えしましょう。
恋愛漫画や恋愛小説を読んだり、恋愛ドラマや映画を鑑賞する
実際には恋愛できなくても、小説や映画に感情移入することで、ときめきを感じることができます。お気に入りの俳優や男性アイドルを見つけることも、ときめきを増やす秘訣です。
ネイルやおしゃれを楽しむ
月に何日か決めて、女性にしかできないおしゃれを楽しみましょう。いつもパンツルックの方は、この日だけはスカートに挑戦してみてはいかがでしょうか?忙しい生活の中で、ご自分のために時間を割くことは自己愛を高めることにも繋がりますし、実際に女性としての魅力が高まり、素敵な出逢いを呼び込む可能性も拡がります。
男性の多い場所へ出かける
バーやカフェ、イベントなど、積極的に男性の多い場所に出掛けるというのも一つの方法です。いつもと違うシチュエーションというだけでもドキドキする方もいらっしゃるでしょう。また、男性の目を意識するということも、女性ホルモンの活性化に繋がります。
スキンシップ
犬や猫などのペットや動物、お子さんとのスキンシップもときめきを増やしますが、できれば異性とのスキンシップが効果的です。職場に男性がいれば、肩や腕など軽くタッチしてみることで、異性として意識し、ドキドキが得られそうです。
男性に話しかける
あえて男性の駅員さんや店員さんに話しかけてみるのも良いでしょう。男性美容師さんにヘアカットしてもらうのも、距離が近いのでドキドキして胸がときめくきっかけになりそうです。
その他の女性ホルモンを増やす方法
先ほどお伝えしたように、毎月の生理が維持されている間は、多種多様なホルモンが絶妙なバランスを保つことで、女性ホルモンは分泌されています。そして、その分泌量は、一生でわずかティースプーン一杯程度だと言われています。ですから、ほんの少しバランスが崩れただけで女性の心身に大きく影響してしまうのです。
女性ホルモンを出すよう一番初めに指令を伝える視床下部は、自律神経の調節を行っているので、その自律神経が狂うと、ホルモン分泌にも影響が及びます。そのため、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動とリラックス、深い呼吸、規則正しい生活リズムといった自律神経を整える生活が、ホルモン分泌を整えることに繋がります。
更年期症状が日常生活に支障が出るほど重い場合は更年期障害と呼ばれ、前述の女性ホルモンの減少だけでなく、心理的要因や仕事や家族関係などの環境要因が重なることで生じると考えられています。
そのため、過労やストレスをため込みすぎないことも、更年期を心地よく過ごすために重要なポイントになります。そこで、女性ホルモンのバランスを整える工夫をいくつかお伝えします。
湯舟につかる
疲れが溜まっているときほど、シャワーで済ませずに湯船につかり、早めに就寝しましょう。
コップ一杯のお水を飲み、湯船に浸かることで血行が促進され、体内の疲労物質や老廃物が排出されやすくなります。
また、眠る30分前にストレッチや深呼吸を行うことで、一度上がった体温が下がるタイミングで心地よく睡眠に入ることができます。
質のよい睡眠をとる
明るすぎる照明は交感神経を優位にし、睡眠の質を下げますので、できれば就寝2時間前からはスマホやパソコン、テレビなどの強い光は避け、間接照明で過ごしましょう。
ストレス発散をする
ストレスを感じたら無理しすぎないようにしましょう。
カラオケや趣味の時間を取って発散したり、気心の知れた友達とおしゃべりするなどして、できるだけ早めに解消するように心がけることがおすすめです。
適度な運動をする
運動も女性ホルモンを自然に増やすためにとても有効な方法です。
運動することで、筋肉からデヒドロエピアンドステロン(DHEA)が分泌され、これがテストステロン(男性ホルモン)やエストロゲン(女性ホルモン)に代謝されていきます。
行うものは、エアロビクスやジョギングなどの無酸素運動ではなく、ウォーキングやスクワットなどの有酸素運動で充分です。
適度に身体を動かすことは、ストレスの解消にもなりますし、筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、ホルモン分泌が促されるなど、よりよい循環が生まれます。
女性ホルモンが増えすぎることの危険性
ここまで、女性ホルモンを増やす様々な方法についてお伝えしてきましたが、実は、女性ホルモンであるエストロゲンが増えすぎることで生じる危険性もあります。
エストロゲンは卵巣だけでなく、副腎や肝臓、末梢の脂肪組織でも作られています。ですので、それまで卵巣で大量に消費されていたエストロゲンが、閉経後に消費されなくなることで、副腎や肝臓、末端の脂肪組織で過剰になり、炎症をもたらして更年期症状を引き起こしているとも考えられるのです。局所での炎症である肩こりや腰痛、手指のこわばりなどはその代表的なものでしょう。
エストロゲンの分泌が増えると、排卵が促されますが、エストロゲンは、卵胞膜に炎症を起こすことで、卵子が卵胞から飛び出しやすくしているのです。排卵に伴い一旦減少したエストロゲンは、生理前に少し増加し、ここでもわずかな炎症を起こすことで子宮内膜が剥がれ落ちるのを助けます。
つまり、エストロゲンには、男性を惹きつける女性らしい魅力的な身体を作り、気持ちを明るくするというポジティブな作用の他に、炎症をもたらす作用もあるのです。卵巣で使われずに余ったエストロゲンは、体内の関節や臓器に炎症をもたらし、細胞を損傷し、新たな病気を生み出します。
ですので、女性ホルモンを増やすために、女性ホルモンに類似した成分を含む食材やサプリメントを長期的に摂取することはお勧めいたしません。
ときめきを増やしたり、適度な運動や入浴、生活習慣を整えることで、健康的に更年期を乗り切っていきましょう!
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(参考)
「Romantic Love and Reproductive Hormones in Women」 International Journal of Environmental Research and Public Health 2019,16(21)
「Hormonal changes in new lovers and long-term partners」Edit 46 Blind date
「Sexual activity, endogenous reproductive hormones and ovulation in premenopausal women」 Hormones and Behavior Volume 66, Issue 2, July 2014, Pages 330-338)
看護師とヨガ、瞑想の講師をしている小田祥子です。
「生理前の感情が落ち着かなくて困っている」という友人がいます。
先生から低用量ピルの服用を勧められ、今も服用を続けており、薬をもらうようになってからだいぶ楽になったそうです。
生理が始まる3~10日前から気分のイライラやうつなどの感情のアンバランス、腹痛などの身体的苦痛など、様々な症状が出現し、そういった症状をPMS(月経前症候群)と言います。
日本においては、月経のある女性のうちの7~8割が、生理前に何らかの症状があると答えており、生活に困難をきたすほどの強いPMSを示す女性は5.4%程度と言われています。
PMSに悩む女性は少なくありません。
今日は「生理前についイライラしちゃう」月経前症候群=PMSについてお話します。
PMS(月経前症候群)について
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
排卵から生理が始まるまでの黄体期に、この2種類の女性ホルモンの分泌が増加した後、黄体期の後半で急激に低下し、脳内ホルモンや神経伝達物質に異常を引き起こすことが、PMSの原因のひとつとして考えられています。
こういった脳の変化は、ストレスの影響も深く関係しており、女性ホルモンだけが原因ではないと言われています。
婦人科では、患者さんのPMSの症状に合わせて、低用量ピル(エストロゲン、プロゲステロンのお薬)を用いた治療の他に、漢方薬や、気持ちを落ち着ける向精神薬、浮腫みをとるお薬などを処方することもあるようです。
私は生理周期に伴った変化を自覚することは、今はほとんどないのですが、骨盤周囲の筋肉を動かし、骨盤内の血流を良くしておくことが症状の改善に役立つこともあるようです。
ヨガのインストラクター仲間で、ヨガを初めて、生理痛や生理前のイライラが改善したというお友だちもいるので、もしかしたら、ヨガを続けていることが生理周期によって起こる心身の不調を未然に防いでくれているのかな?とも思ったりしています。
生理周期に伴って心身の不調を繰り返し感じているという方は、一度婦人科で専門医に相談されると良いかもしれませんね。
ストレスについて
ストレスと脳内ホルモン、感情バランスの関係について。ストレスホルモンには3種類あります。
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
- コルチゾール
人間の身体は、ストレス(身体的または精神的)を受けると、副腎からアドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモンが分泌されます。
何か頑張っている時や、集中力が必要なときに、無意識に起こる体の反応ですが、アドレナリン、ノルアドレナリンが四六時中、長時間にわたって分泌されると、交感神経がスイッチオンの状態が続き、胃腸の働きは低下、手足が冷えて、体が緊張した状態が続きます。
(セロトニンの不足はうつ病の発症とも関係が深いと言われています。)
ノルアドレナリンは、脳の中の前頭前野という、感情抑止力や思考能力をつかさどる部分の機能を低下させます。怒りや不安の感情の暴走を抑えられず、心が不安定になりやすくなります。
コルチゾールの過剰分泌も、高血糖によって血管や神経に障害を引き起こし、血管の病気(腎臓の機能低下、脳や心臓の血管)のリスク増加や、記憶に関係する脳の海馬という場所の神経を委縮させるほか、免疫力低下などの影響があります。
PMSの対策
1.正しい知識を得る
女性としての心と体の仕組みについて知っておくことが、自分自身を労り、心の安定を取り戻すのに有効かもしれません。
正しい知識を持つことで、無駄に自分を責めることがなくなり、対処法を理解し、自分に合った行動をとることができれば、自分を守っている、という自信に繋がります。
自分の心と体の状態や、その変化を、普段から自己観察しておくことで、その変化に早く気づき、適切な対処法を実践できます。これが辛い症状を改善する近道になるのではないでしょうか。
ストレスを強く感じているな、と気付いたら、自分自身をしっかり労わったり、ねぎらったり、休ませてあげましょう。
2.適度な運動、温め
もし苦手でなければ、適度な運動も骨盤周囲の血流、全身のめぐりが良くなることで体調コントロールに役立ちます。
運動がやはり難しいという場合は、お風呂や温泉で温めるたり、腰回りや足元が冷えないように毛糸のパンツ、靴下、ホッカイロなど活用するのも、子宮回りを温めることになるので良いと思います。
3.生活リズムを整える
生活リズムが不規則だったり、夜睡眠がしっかりとれていないと、セロトニンが不足し、気分が重かったり、やる気が出なくなる原因にもなります。生活リズムを整えておくことも良い対策になります。
同様の悩みを抱えている人はきっと少なくないと思います。
一人で抱え込まずに。
時には自分をいたわり、ゆるしながら、自分の体を優しく受け止めて、前に進んでいきましょう。
女性のからだは、子どもを生む、生まないに関係なく、生命のもとをもっています。とても神秘的だと思いませんか?
受精した時、育てて生む準備が、女性のからだのなかでは自然とできているのです。
生理を観察することで、健康チェックもできます。
初潮から閉経まで
日本人の平均的な閉経年齢は、50歳といわれています。これはあくまで平均なので、下は38歳から上は60代までとのデータもあるようです。
たいてい初潮から35年間くらい、毎月の生理と付き合うことになるようですが、妊娠や出産などで、個人差があります。
毎月、5日間は生理期間とすると、なんと、生涯で2,000日以上。約6年は、月経と付き合うことになるのです。
生理の仕組みとサイクルを理解して、うまく生理と付き合っていくと、憂鬱になる事なく、すんなりと過ごすことができます。
生理によって体が守られている
女性は生まれたときから、卵巣の中に赤ちゃんをつくるために必要な卵子の元を持っています。そして、思春期になって、赤ちゃんができる体に成熟すると、学校でも習っていると思いますが、女性ホルモンの働きにより一定のサイクルで、卵子が、ひとつずつ排出されるようになります。
卵子を卵管がキャッチして、子宮へ送り込みます。これが排卵です。同じころ、卵巣の出すホルモンの働きで子宮のかべが厚くなっています。これが赤ちゃんのベッドと呼ばれる部分ですね。卵子が精子と出会えば受精卵として、子宮にとどまりますが、受精しなければ卵子はまもなく消えて、子宮のかべがくずれて外にでていくのです。これが月経血で、いわゆる生理です。
血液とよく似ていますが、子宮の壁の組織がまじっているため、純粋の血液とは違います。
思春期のときの学習を曖昧にしていても、毎月、自分の体でおこっていることを感覚的にとらえているかと思いますが、このあたり正しい理解になっていたでしょうか。
意識してみると、自分の体が愛おしくなるものです。
PMS(月経前症候群)
生理前がつらいという方、月経前症候群という言葉はご存じですか?
生理がはじまって2~3日目ごろがピークの生理痛(月経困難症)とは異なり、生理が始まる3~10日くらい前から起こるものです。
Pre Menstrual Syndromeの略で、不快な症状が繰り返し3ヵ月以上続き、しかも日常生活に差し支えるほど症状がひどい場合に、月経前症候群と診断されます。
<PMSの症状例>
乳房が張る、乳房が痛む、眠気が強くなる、肌が荒れる、食欲が増す、体重が増える、体がむくむ、冷える、頭痛、腰痛、下腹部痛、…身体的不調だけでなく、イライラする、怒りっぽくなる、パニックになる、涙もろくなる、集中力がなくなる、憂鬱な気分になるなど精神的にも悩ましい症状があります。
これは、生理周期も卵巣機能も正常な人でも起こります。日本人のように完璧主義で几帳面な方は、このPMSになりやすいといわれています。
生理中も快適に過ごすために
誰しも、一度や二度、また毎月、PMSだったり、生理痛、更年期障害、このなかの症状に悩まされた経験があるのではないでしょうか?
生理にまつわる、これらの問題が解消されれば、毎月の不安もなくなると思います。解決策の一つに、食事を見直すという、いたってシンプルな方法があります。
生理の不快を食事で解決
生理との付き合いに限ったことではありませんが、栄養バランスのとれた食事で、ビタミン・ミネラルをしっかり摂取することが大切です。
食べたもので、私たちの体は作られ、整えられていきます。
とくに生理での不調な症状が重いとき、急に症状が重くなったときは、子宮内膜症などの病気がかくれている場合もあるので、そんなときはすぐに婦人科を受診しましょう。
最近では、生理痛のようにPMSにも対応した薬もあります。
骨がスカスカになる骨粗鬆症を防ぐためにも、さきに挙げたようなバランスのとれた食事のほか、適度な運動も取り入れてみてください。
閉経は女の第二の人生の始まり
平均寿命が延びたことにより、私たちの親や祖父世代には、人生の後半であった閉経も、今では、まだ折り返しの年齢でもあります。つまり、ここからまた女の第二の人生が始まるのです。
更年期と言うと、女の終わりとか、辛い症状が待っている、といったようなマイナスなイメージがあります。まだ生理がある時に、バランスの取れた食生活、運動、睡眠など健康的な生活をしていると、閉経や更年期もすんなりと迎える事ができます。
イライラする。
不安になる。
やる気が出ない。
「もしかして、私、うつなのかしら?」
「最近、仕事が忙しくて、ストレスが溜まってるのかな?」
このように、不安になる方もいるかもしれません。
こういった心の不安定は、精神的なものよりも、ホルモンが原因で起こることがあります。
ホルモンと言うと分かりづらいかもしれませんが、最近は、PMS(月経前症候群)という言葉で表現される事が多いです。
こんにちは。ハーブティーブレンダー&カウンセラーの桝井愛祐子です。
私は普段、ホルモンバランスを乱して、PMSに悩む女性の相談に乗る事がとても多いです。悩みを抱える女性達の多くが、その原因が分からず、不安と戦っていらっしゃいます。
あなたの心の不安定がPMSの場合、どのように対応したらよいかをご紹介します。
PMSってなに?
日本ではPMSの認知度も低く、症状が様々で個人差もあるので、気がついていない方がとても多いです。
PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略で、「月経前症候群」と言います。
月経開始の約3日~10日前に起こる精神的又は身体的に起こる症状の事です。
女性の70~80%の方にあると言われています。
原因は諸説ありますが、ホルモンバランスの変化だという考えが一般的です。
その症状は150種類以上とも200種類以上あるとも言われ、同じ人でも、毎月症状が違う…なんていう事もあります。
症状が出ていても忙しさのせいだと思っていたり、自分の性格だと思って気がついていない女性もとても多いです。
PMSチェック
あなたはこんな経験はありませんか?
- やたら眠くなる
- だるい
- 頭痛がする
- 甘いものが食べたくなる
- 太りやすくなる
- 便秘になる
- 胸が張って痛い
- むくみが気になる・・・
- 肌が荒れる
- ちょっとした事で涙が出てくる。
- 些細なことでイライラする
- 怒りっぽくなる
- パートナーと喧嘩
- etc
これらの症状が1つでも当てはまる方は、その症状が決まって現れる時期について思い出してください。
もし、いつも決まって生理前に現れるようであれば、あなたの心の不安定は、PMSの可能性があります。
現代の女性はとても頑張っています。
自分を責めないで
PMS傾向が強い方の特徴として、「まじめで几帳面、完璧主義、我慢してしまう、ストレスがある」などがあげられます。PMSの方は、辛い時でも無理をしがちです。
仕事や家事が忙しくて、自分のことは後回し…
忙しいから疲れていて彼や旦那様、子供に当たってしまう
そして後悔して、「私はなんてダメなんだ・・・」と自己嫌悪に陥る。
イライラして、家族や周りの人に当たってしまうのも、あなたのせいではありません。
あなたはもう十分頑張っています。自分を責めないでください。
PMSの対策
PMSの時期は、情緒不安定になったり、集中力、判断能力が低下します。
生理が始まると、昨日までのイライラはなんだったんだろう?というぐらいころっと気持ちが変わります。
ステップ1
まずは知ることが大切です。自分がいつPMSになるのかを知りましょう。
1 基礎体温をつける
2 生理日記をつける(落ち込んだ日や、喧嘩した日、頭痛がした日など一言でもOK!)
アプリなどで簡単に管理できますので面倒くさがらずに記録するのがおすすめです!
自分がいつPMSになり、どんな症状が起きるのか把握しておくと、喧嘩を避けられたり、重大な決断はしないなど、コントロールが出来るようになります。
ステップ2
PMSの時期の過ごし方を変えましょう。以下のように過ごすのがおススメです。
・自分を許してあげる
頑張れなくても、悲しくなっても、イライラしてもあなたのせいではありません。
・無理をしない、頑張りすぎない
家事をしなくなければしない!などど、自分でルールを決めてみましょう。
数日後には元気なサイクルが訪れるので、またその時に頑張ればいいのです!
今だけ!だという事を知っておきましょう!
・大きな決断はしない
大きな買い物や、転職や、お別れなど大きな決断は先延ばしにしましょう!
判断能力が鈍っているこの時に大きな決断をしてしまうと
後に後悔してしまう・・・なんていう事もあります。
・軽い運動
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動がおすすめ!リフレッシュしましょう!
・食事に気をつける
カルシウムや、ビタミンCの多い食事を取り、PMSを悪化させてしまう可能性のある糖分や、塩分、カフェインの摂り過ぎに注意しましょう。お豆腐や、きのこ、緑黄色野菜などがおすすめ!
・好きなことをする
人と関わることが億劫になることもあるので、一人で好きな事をするのがおすすめです。例えば、映画鑑賞など。
・アロマバスでリラックス
入浴で身体をあたため、アロマでリラックスしましょう。ホルモンバランを整える働きがある、ゼラニウムや、リラックス効果のあるレモンバームなどがおすすめ! 必ず精油を使用しましょう!
・ハーブティーで体質改善
カモミールティーやシャタバリ、ラズベリーリーフなど、PMSに効果的だと言われるハーブティーはたくさんあります。
PMSの時期だけでなく、身体のリズムに合わせて毎日飲む事で症状の軽減が期待出来ます。
相乗効果が期待出来るため、シングルよりもブレンドハーブティーがおすすめです。
いかがでしたか?
これもPMSだったんだ!と意外と知らない事もあったのではないでしょうか?
自分の身体と心の事をきちんと理解して、上手に付き合って行きましょう!
✽症状がひどい場合や、心配な場合は病院の受診をおすすめ致します。
自分の体調や生理周期に合わせて、ハーブティーをブレンドして飲むと、PMSの改善に繋がります。PMSにお悩みの方は、ハーブティーブレンダー&カウンセラーの桝井愛祐子まで。
自分の身体の事を知って、心も身体も軽くなりましょう♪